ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん/エルサ・ベスコフ

エルサ・ベスコフ作・絵、小野寺百合子訳の『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』(原題:Puttes äventyr i blåbärsskogen)は、1910年にスウェーデンで初版発行、日本では1977年に福音館書店から出版されました。おかあさんの誕生日プレゼントを探しに出たプッテが、森のこびとのおじいさんと出会い、不思議な世界へと冒険に出るお話。こびとの魔法で小さくなったプッテが、ブルーベリー森で出会うさまざまな体験を通じて、自然の豊かさや想像の世界の素晴らしさを感じられる一冊です。やさしいタッチの絵とファンタジックな展開に心が温まります。

略歴

エルサ・ベスコフ

エルサ・ベスコフ(Elsa Beskow, 1874–1953)は、スウェーデン生まれの絵本作家・画家です。ストックホルム出身で、美術学校で学んだ後、雑誌の挿絵を描きながら創作活動を始めました。1901年に発表した『小さなおばあさんのうち』で絵本作家としてデビュー。その後も『おひさまのたまご』『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』など、自然と子どもたちをテーマにした作品を多く生み出しました。彼女の作品は、温かなストーリーと繊細で優しい水彩画が魅力で、今も世界中で読み継がれています。

小野寺 百合子(訳)

小野寺百合子(おのでら ゆりこ、1906年–1998年)は、東京出身の翻訳家・随筆家・ノンフィクション作家です。東京女子高等師範学校附属高等女学校専攻科卒。在学中に小野寺信(陸軍中尉)と結婚し、夫の公使館付武官として赴任したラトビア・スウェーデンに同行。第二次世界大戦中は暗号電報の作成・解読に携わり、戦後はスウェーデン社会研究所の設立に尽力。トーベ・ヤンソン『ムーミン』シリーズやエルサ・ベスコフの絵本翻訳で知られ、1981年にはスウェーデン国王から北極星女性勲章一等を受章。著書に、自身の戦争体験を綴った『バルト海のほとりにて』などがあります。

おすすめ対象年齢

この絵本は、3歳ごろから小学校低学年くらいまでの子どもにおすすめです。幻想的な物語の世界と、自然とのふれあいをテーマにしており、読み聞かせにもぴったり。こびとや森の不思議な存在に心惹かれる年頃の子どもたちには特に楽しめる内容です。

レビュー

プッテの冒険は、自然と空想の世界をやさしくつなぐ素敵なお話でした。ブルーベリー森に入るシーンはワクワクが止まらず、こびとたちとの出会いや森での出来事に夢中になりました。エルサ・ベスコフの繊細な絵が物語にぴったりで、ページをめくるたびに森の香りがしてきそうなほど。自然の美しさや、家族を思う気持ち、そして子どもの純粋な冒険心が丁寧に描かれていて、読み終わったあとに温かい気持ちが広がりました。子どもにも大人にもおすすめです。