なないろのクリームソーダ/難波 里奈

『なないろのクリームソーダ』(作:難波 里奈/絵:oyasmur、2021年 ケンエレブックス)は、純喫茶「さぼうる」を舞台に、7色のクリームソーダに迷いながら出会った女の子の夢いっぱいの物語です。森みたいな外観、洞窟みたいな店内、やさしいマスターに迎えられ、どの色にしようかワクワク…ページをめくるたびに「シュワシュワ甘い」夢の世界へ。純喫茶をこよなく愛する難波さんの視点と、oyasmurさんの透明感のあるイラストが重なって、実際に神保町にある「さぼうる」の空気がそのまま絵本になったよう。甘いもの好きな人も、喫茶好きな人も、思わず笑顔になれる一冊です。

略歴

難波 里奈

難波里奈さんは“純喫茶コレクション”として知られる純喫茶文化の研究者・語り手で、現在「東京喫茶店研究所」二代目所長として活動されています。会社員を続けながら、休日と仕事帰りに足を運んだ純喫茶はなんと2000軒以上!純喫茶を日替わりの“自分のお部屋”と楽しむ感性で、数多くの書籍やイベントを通じて、昭和文化としての純喫茶の魅力を広く伝え続けています。

oyasmur(絵)

oyasmur(オヤスマー)さんは秋田県出身、美術大学在学中に活動をスタートしたイラストレーターです。透明感と青みのきいた色彩、夢や日常のきらめきを描くスタイルが特徴で、書籍・雑誌挿絵や広告、音楽アートワークなど幅広く活躍中。Instagramを中心に作品が人気で、見る人にそっと優しい余韻を残すアートで、多くのファンを魅了しています。

おすすめ対象年齢

この絵本は、幼児から小学校低学年(年中〜小学2年生くらい)におすすめです。ソーダの色を選ぶワクワク感や、喫茶店みたいな大人な空間が絵本の中に広がっていて、見るだけでも楽しめます。親子で「どの色がいい?」と話しながら読むのにもピッタリです。絵が丁寧で優しいので、大人も一緒に夢中になれますね。

レビュー

読んでいてまず引き込まれたのは、「さぼうる」の描写のリアルさ。洞窟みたいな店内、森みたいな入口…まるで自分も扉をくぐっているようでした。7色のクリームソーダってだけでテンション上がるのに、その色選びを迷う女の子の気持ちが手に取るように伝わってきます。oyasmurさんのイラストは透明感があって、絵本を閉じたあとも視覚に残る美しさ。難波さんの「純喫茶愛」が詰まった文章には、温かくて懐かしい気持ちが漂っていて、疲れた大人の心にもすっと染み入るようでした。甘くて、ちょっと大人な夢を感じられる、素敵な一冊です。