
『あかいしろくま』は、柴田ケイコさん作・イラストの絵本で、PHP研究所から2020年に出版されています。食べることが大好きなしろくまが、「あかい食べもののなかに入ったらどんなかんじかな?」と想像を膨らませる物語です。しろくまは、いちごやトマト、スイカなど、さまざまな赤い食べ物の中に入ることを夢見て、その楽しさを描いています。鮮やかなイラストとユーモラスな展開が特徴で、子どもたちの想像力を刺激する作品です。
略歴
柴田ケイコ
柴田ケイコ(しばたけいこ)さんは、1973年に高知県で生まれ、奈良芸術短期大学ビジュアルデザインコースを卒業後、香川県や高知県の印刷会社でグラフィックデザインやオペレーターの仕事に従事しました。2002年よりフリーのイラストレーターとして独立し、広告や出版物など幅広い分野で活動を開始。2016年に初の絵本『めがねこ』を手紙社から出版し、絵本作家としてデビューしました。その後、「しろくま」シリーズや『パンどろぼう』などの作品が高い評価を受け、絵本大賞を受賞するなど、注目を集めています。
おすすめ対象年齢
『あかいしろくま』の対象年齢は、主に4歳から6歳の未就学児から小学校低学年の子どもたちに適しています。この時期の子どもは、色や形、物の特徴に興味を持ち始め、想像力が豊かになります。本作では、しろくまが「赤いものの中に入るとどうなるのか?」というユニークな発想を展開し、食べ物だけでなく、さまざまな「赤いもの」をテーマにしています。そのため、色の概念を学ぶきっかけとしても優れており、視覚的にも楽しめる作品です。
レビュー
『あかいしろくま』は、シンプルながらもユニークな発想が魅力的な絵本です。しろくまが「赤いものの中に入るとどうなるのか?」と想像を膨らませる姿は、子どもの純粋な好奇心そのものを映し出していて、とても微笑ましいです。赤い食べ物だけでなく、日常のさまざまな「赤」にフォーカスしている点が面白く、色彩に対する興味を引き出すきっかけになると感じました。また、柴田ケイコさんの温かみのあるイラストが、しろくまの表情や動きをより魅力的に描いており、子どもはもちろん、大人も一緒に楽しめる作品になっています。特に、しろくまが赤いものと同化してしまうユーモラスな展開には、思わず笑ってしまいました。読み聞かせをする際にも、次にどんな赤いものが登場するのかを子どもと一緒に想像しながら読むと、より楽しくなると思います。色や形、食べ物、そして「もし○○だったら?」という空想の楽しさを存分に味わえる一冊で、子どもの創造力を刺激する素晴らしい作品だと感じました。親子の会話が自然と弾む内容なので、読み聞かせにもぴったりです。