作・絵:マーカス・フィスター、訳:谷川俊太郎『にじいろのさかな しましまをたすける!』(原題:Regenbogenfisch, komm hilf mir!)は、1997年に講談社から発行された大人気シリーズ第2作目。きらきらうろこを仲間たちに分け与え、優しさを知ったにじうお。でもある日、きらきらしていない“しましまさかな”が現れたことで、みんなはまた仲間はずれに…。そんなときにサメが登場して海は大騒ぎ!にじうおはしましまさかなを守るために勇気を出します。友情と多様性の大切さを伝えるあったかいストーリーです。
略歴
マーカス・フィスター
マーカス・フィスター(Marcus Pfister)さんは、1960年スイス・ベルン生まれの絵本作家・イラストレーターです。ベルンの美術学校でグラフィックデザインを学び、広告業界を経て絵本の世界へ。1992年に発表した『にじいろのさかな(原題:der regenbogenfisch)』が世界的な大ヒットとなり、現在では50か国以上で翻訳され、多くの子どもたちに愛されています。透明感のある美しいイラストが特徴で、水彩とホイル加工を組み合わせた独自の技法も魅力です。
谷川俊太郎(訳)
谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう, 1931年-2024年)さんは、東京生まれの詩人、翻訳家、絵本作家です。1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューし、その独創的で感受性豊かな詩風が注目を集めました。以来、詩だけでなく、絵本や脚本、翻訳など多岐にわたる分野で多才な才能と日本文学への多大な貢献を物語っています。
絵本分野では、レオ・レオニの『スイミー』や『フレデリック』の翻訳で知られ、その簡潔で美しい日本語訳が作品に新たな命を吹き込みました。また、絵本『もこ もこもこ』や詩画集『ことばあそびうた』など、自身のオリジナル作品でも多くの読者に親しまれています。
受賞歴も多く、読売文学賞(1983年)、野間児童文芸賞(1988年)、朝日賞(1996年)など、国内外で高く評価されました。晩年には国際的な詩の賞も受賞し、日本文学の世界的な地位向上にも寄与しました。詩を通じて日常の深さを表現し続け、2024年に永眠されました。その作品と影響は、今も多くの人々に愛されています。
おすすめ対象年齢
『にじいろのさかな しましまをたすける!』は、3歳〜7歳くらいが対象年齢。お友だちとの関わり方や、見た目の違い、やさしさとは何かを考えるきっかけになる絵本です。読み聞かせにもぴったりで、幼稚園や小学校低学年にもおすすめ!
レビュー
この絵本は、「みんなちがってみんないい」ってことを、にじうおたちのやりとりから自然と伝えてくれます。しましまさかなが仲間に入れず、見た目で判断されてしまう場面はちょっと切ないけれど、にじうおが勇気を出して助ける姿に胸がジーン。サメの登場でちょっとハラハラもありつつ、最後にはほっとできる展開に安心します。友情や思いやりって、大人でも改めて大事だなって思えるような、心に残る一冊です。