みんなで!どうろこうじ/竹下 文子

竹下文子さん作、鈴木まもるさん絵の『みんなで!どうろこうじ』(2010年 偕成社)は、道路工事の一部始終を描いた迫力満点の絵本です。がったんごっとんと揺れる道路を直すために、パワーショベルやダンプカー、マカダムローラー、タイヤローラーなどたくさんの働く車が大活躍! まるで現場を定点観測しているかのように工事の流れが細かく描かれていて、重機や車好きの子どもたちは夢中になること間違いなし。ユーモラスな交通整理のおじさんも見どころで、ページをめくるたびに新しい発見がある楽しい仕掛けが詰まっています。

略歴

竹下 文子

竹下文子(たけしたふみこ)さんは1957年福岡県生まれ、東京学芸大学卒業。大学在学中から童話の執筆を始め、1978年に「月売りの話」で日本童話会賞を受賞。以降、『星とトランペット』『黒ねこサンゴロウ』シリーズなどで路傍の石幼少年文学賞を受賞し、長年にわたって児童文学・絵本の世界で活躍されています。代表作には『せんろはつづく』『ひらけ!なんきんまめ』『なまえのないねこ』など、受賞歴も多数(絵本にっぽん賞、産経児童出版文化賞、講談社絵本賞など)。静岡県在住で、多くの子どもたちに親しまれている作家です。

鈴木 まもる(絵)

鈴木まもるさんは1952年東京生まれ。東京芸術大学工芸科を中退後、1980年に『ぼくの大きな木』で絵本作家としてデビュー。作品数は200冊以上にのぼります。1995年に「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さし絵賞を、2006年に『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞、2015年には『ニワシドリのひみつ』で産経児童出版文化賞JR賞など数々の受賞歴あり。伊豆半島に在住し、画家・絵本作家として活動する傍ら、鳥の巣研究家として収集・展覧会・講演なども行っています。

おすすめ対象年齢

『みんなで!どうろこうじ』は、主に2歳頃から小学校低学年くらいまでの子どもにおすすめです。工事車両や道路づくりの流れがわかりやすく描かれているので、働く車に興味を持ち始めた幼児から楽しめます。また、細かい描写や人々の動きに注目すると小学生でも新しい発見があり、長く読み込める一冊です。

レビュー

この絵本を読んでまず感じたのは、細部まで描き込まれた工事現場の臨場感です。働く車の動きや音が伝わってきて、まるで本当にその場に立ち会っているような気持ちになりました。交通整理のおじさんのユーモラスな表情や動きも楽しく、子どもと一緒に「見つけた!」と指差しながら読むのも魅力です。働く車が好きな子どもはもちろん、普段あまり興味がない子でも、大掛かりな工事の流れが理解できてワクワクできるはずです。読み返すたびに新しい発見があるので、親子で何度も楽しめる絵本だと思いました。