『ぼくつかまらないもん!』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが原作、長野ヒデ子さんが絵を担当し、なかがわちひろさんが翻訳した絵本です。原作の英語タイトルは『The Runaway Bunny』で、1942年にアメリカで発表されました。この物語は、逃げ出そうとする子うさぎと、それを追いかける母うさぎの愛情あふれるやり取りを描いており、親子の深い絆を感じさせる作品です。日本語版は、長野ヒデ子さんの温かみのあるイラストと、なかがわちひろの優しい翻訳によって、新たな魅力が加わっています。
略歴
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。
長野ヒデ子(絵)
長野ヒデ子さんは、1941年に愛媛県で生まれた絵本作家です。瀬戸内の海を見て育った彼女は、絵本創作のほか、紙芝居やイラストレーション、エッセイ、翻訳など幅広い分野で活躍しています。代表作には、『とうさんかあさん』(石風社)、『おかあさんがおかあさんになった日』(童心社)、『せとうちたいこさん・デパートいきタイ』(童心社)などがあり、これらの作品で数々の賞を受賞しています。また、紙芝居作品やエッセイなど、多彩な創作活動を展開しています。
なかがわちひろ(訳)
なかがわちひろ(中川千尋)さんは、1958年に関東地方で生まれ、転勤族の家庭で育ちました。小学4年生の秋から中学3年生の秋まで仙台で過ごし、高校時代にはアメリカ・サンディエゴに1年間留学しました。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業後、劇団テアトル・エコーの座付き翻訳者としてコメディの翻訳に従事しましたが、子どもの本に強い関心を抱き、福武書店児童書編集部での翻訳活動を開始しました。以降、児童文学の作家、画家、翻訳家として多彩な作品を手がけています。翻訳作品には『ふしぎをのせたアリエル号』や『ちいさなあなたへ』などがあり、創作絵本には『のはらひめ』や「おたすけこびと」シリーズなどがあります。受賞歴も豊富で、『どうぶつがすき』で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』で野間児童文芸賞を受賞しています。彼女の作品は、子どもの豊かな感性を育むものとして高く評価されています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3歳から5歳程度の幼児期の子どもたちに適しています。シンプルでリズミカルな文章と、親しみやすいイラストが、小さな子どもたちの興味を引きつけます。
レビュー
『ぼくつかまらないもん!』は、親子の愛情と絆を描いた心温まる作品です。子うさぎがさまざまな方法で逃げ出そうとするたびに、母うさぎが愛情深く追いかける姿が微笑ましく、読み聞かせを通じて親子のコミュニケーションを深めるきっかけとなるでしょう。長野ヒデ子さんの柔らかなイラストと、なかがわちひろさんの優しい翻訳が、物語の魅力をさらに引き立てています。親子で一緒に楽しめる一冊として、おすすめです。