『ゆすってごらん りんごの木』は、ニコ・シュテルンバウム作、中村智子さん訳、2021年発行の参加型絵本です。本書は、読者が本を揺らしたり、回したり、息を吹きかけたりすることで物語が進行し、子どもの好奇心と想像力を刺激します。原作 「Schüttel den Apfelbaum」はドイツで出版され、同国の大手誌『シュピーゲル』で95週にわたってランクインし、22万部を突破する国民的絵本となりました。また、「Stiftung Lesen(子どものための読書財団)」により推薦図書に選ばれ、世界中で翻訳されています。
略歴
ニコ・シュテルンバウム
ニコ・シュテルンバウム(Nico Sternbaum)は、ドイツ在住の絵本作家・イラストレーターです。幼少期から物語を考え、絵を描くことを好み、両親と共に南アフリカでの探検や、祖父母の家の果樹園でのツリーハウス作りなど、自然と触れ合う経験を積みました。美術大学で学位を取得し、現在はヴィースバーデンを拠点に活動しています。彼の作品はメディアから高い評価を受け、「子どものための読書財団(Stiftung Lesen)」により推薦図書に選ばれています。代表作である『ゆすってごらん りんごの木』は、ドイツの大手誌『シュピーゲル』のベストセラーリストにランクインし、多言語に翻訳されています。
中村智子
中村智子(なかむら ともこ)氏は、神奈川県横須賀市出身のドイツ語翻訳者です。大学では法律を専攻し、学問的に論理的な思考を学びましたが、卒業後、大学で第2外国語として選んだドイツ語への興味が再燃し、より深く学ぶためにドイツへの語学留学を決意しました。留学中にドイツ文化の豊かさに触れる中で、特に書籍装丁の美しさと、そのデザインや内容が人々に与える感動に魅了され、本に関わる仕事を目指すようになりました。帰国後、翻訳業の道を歩み始め、2004年からプロの翻訳者としてのキャリアを本格化させました。
翻訳に対する姿勢は非常に真摯で、言葉を単に訳すだけでなく、原作者の意図や作品の雰囲気を読者に正確に伝えることを何よりも大切にしています。そのため、原作の文化的背景やニュアンスを深く理解することに時間をかけ、日本の読者にとって心に響く作品に仕上げています。モットーは「選択肢は少なめに」で、日々の生活や仕事において、シンプルで本質的なものを追求する姿勢が彼女の魅力の一部となっています。
おすすめ対象年齢
本書は、出版社のおすすめ年齢として3歳から5歳向けとされています。しかし、シンプルな言葉と楽しい仕掛けが満載のため、1歳からの幅広い年齢層の子どもたちが楽しめる内容となっています。
レビュー
『ゆすってごらん りんごの木』は、子どもの好奇心をくすぐる素晴らしい参加型絵本です。本を揺らしたり、コチョコチョしたり、息を吹きかけたりすることで物語が展開し、子どもたちは自分が物語に関与している感覚を味わえます。このようなインタラクティブな要素は、子どもの想像力や創造性を育むのに最適です。また、親子で一緒に楽しむことで、コミュニケーションの機会が増え、絆を深めることができます。シンプルなイラストと優しい色使いも魅力的で、繰り返し読みたくなる一冊です。