いっぽんばし にほんばし/中川 ひろたか

『いっぽんばし にほんばし』(作:中川ひろたか、原詩:湯浅とんぼ、絵:相野谷由起、アリス館、2004年発行)は、誰もが知っているわらべ歌「いっぽんばし にほんばし」をそのまま絵本にした、歌ってあそべる楽しい一冊です。雨がどんどん降ってきて川ができるところから物語は始まります。たぬきのぼうやが次々とユーモラスな橋をかけていきます。色彩豊かなイラストがページごとに広がり、最後の楽譜付きで、歌い聞かせたい親子にぴったりの構成になっています。読んで、歌って、触れて楽しさ広がる一冊です。

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

湯浅とんぼ(原詩)

湯浅とんぼさんは1940年、群馬県安中市生まれ。社会福祉法人「千早子どもの家保育園」でボランティアとして関わった後、職員となり副園長として活躍されました。その頃、中川ひろたかさんと出会い、オリジナルのあそびうた作りに挑戦。保育雑誌で連載し「あそびうた」を全国に広める立役者に。その後も全国の幼稚園・保育園で公演や子育て支援講座、講習会を精力的に行い、あそびうた文化に大きな功績を残されました。2022年永眠されました。

相野谷 由起(絵)

相野谷由起(あいのやゆき)さんは神奈川県出身、多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業後、イラストや絵本で活躍する絵本作家です。1987年に日本イラストレーション展・銀賞、同グラフィック展・審査員賞を受賞。1990年にはクレヨンハウス絵本大賞・最優秀賞を獲得。代表作の一つ『うさぎのさとうくん』(小学館)は、第12回日本絵本賞を受賞しました。その他にも『わたしは いま とても しあわせです』(ポプラ社)や『あかちゃんが うまれるまで』(童心社)など、やさしく豊かな表現で多くの絵本を手がけています。

おすすめ対象年齢

対象は主に1歳ころから3歳くらいまでの幼児です。シンプルな歌のリズムとカラフルなイラストで、視覚と聴覚に訴える楽しい設計。歌ってあそべる構成で「聴く」「見る」「歌う」がそろっているので、親子での触れ合い読み聞かせにとても向いています。

レビュー

この絵本、まず表紙のたぬきの表情がもう可愛くて目がくぎづけ!歌のリズムに合わせてページをめくるたび、色とりどりの橋のかかりかたが変わったり動き出したり、子どもたちのわくわくを自然に引き出してくれます。しかも最後には楽譜付きで、歌詞を見ながら一緒に歌えるところがすごく素敵。読み聞かせだけじゃなく、親子で「いっぽんばしにほんばし」と歌って遊んで、笑顔と一緒にリズムの記憶にも残る感じです。短いページ数なのに内容はぎゅっと濃くて、繰り返し手に取りたくなる一冊ですね。