POP WONDERLAND しらゆきひめ/グリム

『POP WONDERLAND しらゆきひめ』は、グリム兄弟の『白雪姫』を原作とし、イラストレーターのぽっぷ(POP)さんが絵を、はやの みちよさんが文を担当した絵本です。2009年に日本のポプラ社から発行されました。この作品は、伝統的なおとぎ話を現代的な視点で再解釈し、鮮やかで繊細なイラストと共に、子どもたちに親しみやすい文章で描かれています。物語は、邪悪な女王から逃れ、7人の小人たちと出会う白雪姫の冒険と成長を描いており、友情や勇気の大切さを伝えています。

略歴

グリム兄弟

グリム兄弟[ヤーコプ・グリム (Jakob Grimm) とヴィルヘルム・グリム (Wilhelm Grimm)]は、19世紀ドイツを代表する言語学者であり民俗学者です。彼らは1785年(ヤーコプ)と1786年(ヴィルヘルム)にドイツのハーナウに生まれ、マールブルク大学で法学を学ぶ中で民族文化や言語への関心を深めました。特に民間伝承や童話に強い興味を抱き、各地の口承文学を収集し、それを基にした『グリム童話集』を1812年に初めて出版しました。この作品は、単なる子供向けの物語ではなく、当時の民衆文化や価値観を反映した重要な文化遺産として高く評価されています。兄ヤーコプは特にドイツ語の文法研究や辞書編纂にも尽力し、弟ヴィルヘルムは物語の文体や編集に秀でていました。彼らの活動は、ドイツの統一と民族意識の高揚にも寄与しました。
彼らの作品には、『赤ずきん』や『おおかみと七ひきのこやぎ』、『ブレーメンのおんがくたい』、『こびとのくつや』、『ヘンゼルとグレーテル』、『白雪姫』、『シンデレラ』など、今日でも世界中で愛されている物語があります。

ぽっぷ(絵)

ぽっぷ(POP)さんは日本のイラストレーターで、同人サークル「ElectromagneticWave」に所属。商業デビュー作は『萌える英単語 〜もえたん〜』の挿絵で、萌え系実用書の先駆けとして話題になりました。その後、『POP WONDERLAND』シリーズ(文:はやの みちよ)を手掛け、クラシックなおとぎ話を独自のタッチで描きました。また、アニメ『こわれかけのオルゴール』や『ゆとりちゃん』のキャラクター原案を担当し、幅広いジャンルで活動。同人では漫画『lunchbox』を連載し、オリジナル作品や設定資料集を発表。POPの作風はメルヘンチックで可愛らしいキャラクターデザインが特徴で、国内外のファンに支持されています。

はやの みちよ(文)

早野美智代(はやの みちよ)さんは、長崎県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部を卒業後、児童文学の分野で活躍する作家です。彼女は多くの児童書を手掛けており、その作品は子どもたちに親しまれています。代表作の一つに、イギリスの昔話を基にした『ジャックとまめのき』があります。また、イラストレーターのPOPと共に制作した『POP WONDERLAND』シリーズでは、クラシックなおとぎ話を現代の子どもたちにも親しみやすい形で再構築しています。このシリーズの一冊である『しらゆきひめ』では、グリム童話の名作を優しい文章で綴り、鮮やかなイラストと共に物語の魅力を引き出しています。早野氏の作品は、子どもたちの想像力を育むとともに、読み聞かせにも適した内容となっており、教育現場や家庭で広く活用されています。彼女の執筆活動は、児童文学の分野で高く評価されており、今後の新作にも期待が寄せられています。

おすすめ対象年齢

『POP WONDERLAND しらゆきひめ』は、主に幼児から小学校低学年の子どもたち(3~7歳程度)を対象としています。鮮やかなイラストと簡潔な文章で構成されており、読み聞かせや初めての読書に適しています。また、親子で一緒に楽しめる内容となっており、家族のコミュニケーションツールとしても活用できます。

レビュー

この絵本は、伝統的な『白雪姫』の物語を、ぽっぷの独特なイラストレーションと、はやの みちよの優しい文章で新たに表現しています。特に、キャラクターたちの表情や動きが生き生きと描かれており、子どもたちの想像力を刺激します。また、物語の展開もテンポ良く進み、小さな読者でも飽きることなく最後まで楽しめます。親子で一緒に読むことで、物語のテーマである友情や勇気について話し合う良い機会にもなるでしょう。

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