『ねむい ねむい おはなし』(原題:So Sleepy Story)は、ユリ・シュルヴィッツが2006年にアメリカで発表した絵本。日本語版はさくまゆみこさん訳で、2006年にあすなろ書房から刊行。まぶたが重たくなるほど“ねむねむ”な夜、家の中のお皿やイス、ネコやテーブルまでもが眠そうな顔。そこへどこからか楽しいメロディが流れ込み、目覚めた家具や動物たちが踊り出します。ページをめくるたびに眠気とワクワクが交互に訪れる、“眠り前のゆらぎ”を見事に表現した一冊です。夜の静けさと動の高揚感が、美しい絵と軽やかなリズムで自然に味わえます。
略歴
ユリ・シュルヴィッツ
ユリ・シュルヴィッツ(Uri Shulevitz, 1935–)は、ポーランド生まれ、アメリカ在住の絵本作家・イラストレーター。幼少期に第二次世界大戦によって一家でヨーロッパを転々とし、その後イスラエルやフランスを経て、1959年にニューヨークへ移住。アート・スチューデンツ・リーグで学び、1963年に絵本作家デビュー。1969年には『よあけ』(Dawn)でコールデコット賞を受賞。詩的で静けさのある世界観と、繊細で味わい深い絵が特徴で、長年にわたり多くの作品を発表しています。戦争の記憶や静寂の美しさを描いた『雪のでんしゃ』『よるのとしょかん』など、日本でも根強い人気があります。
さくま ゆみこ(訳)
東京都出身、1947年生まれのさくまゆみこ(作間 由美子)さんは、もともと出版社で編集者として活躍後、イギリスへ留学し児童文学を学んだ経歴の持ち主。帰国後はフリーの編集者・翻訳家として、子どもの本を中心に、絵本からYA小説、研究書までなんと 250冊以上を翻訳されています。翻訳だけにとどまらず、『エンザロ村のかまど』など著書も手掛け、産経児童出版文化賞大賞を受賞。日本国際児童図書評議会(JBBY)の前会長を務め、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表として、アフリカ諸国への本の寄贈や文化交流活動も行っています。現在は大学の非常勤講師や後進の育成にも関わりつつ、世界中の子どもたちに本の魅力を届ける“子どもの本界の風雲児”的存在。語りかけるような自然な訳文が親子世代から厚く支持されており、翻訳絵本界のカリスマとして知られています。
おすすめ対象年齢
2〜6歳くらいにぴったり。まぶたが重くなって寝る直前、読めば「ねむい〜」という素直な感覚に寄り添いつつ、楽しい音楽でちょっと目を覚ます。寝る前のお話タイムがルーティン化している家庭におすすめで、眠気と遊び心を同時に味わえる、リズムも絵も心地よい一冊です。
レビュー
この絵本、最初のページをめくるたびに「あぁ、今日はもう寝よう」という気持ちになるけど、次のページでメロディが鳴り響くと「え、もうちょっと起きたい?」って揺れるんですよね。イスがこっくり、テーブルがぐらり、ネコが目をパチクリ…そんな静と動のコントラストが最高!子どもに読んであげてるはずが、大人のほうが目がとろ〜ん&ニヤニヤしちゃいました。最後は眠りに戻る安心感も抜群で、「寝る前にぴったりな本ってこういうのだな」としみじみ。文字少なめで絵のストーリーを堪能できるから、読み聞かせでも自力読みでもじゅうぶん楽しめます。