星空キャンプ/村上 康成

『星空キャンプ』(1994年、講談社)は、自然派絵本作家・村上康成さんが描く、親子の心温まるアウトドア体験をテーマにした作品です。初めてキャンプに来た少女と両親が、森の風、川の音、虫の声、そして満天の星空と出会い、自然の美しさや生命のつながりを肌で感じていきます。言葉は最小限で、ページいっぱいに広がるやさしい絵が、読者を静かな感動へと誘います。自然の中で過ごす時間の豊かさを改めて教えてくれる一冊です。

略歴

村上 康成

村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は4歳ごろから。ストーリーはシンプルながらも、自然と触れ合う繊細な描写が多く、少し大きなお子さんや小学生にもおすすめです。読み聞かせはもちろん、自分で読む絵本としてもぴったりで、自然に興味を持つきっかけにもなります。

レビュー

読んでいるとまるで自分もキャンプに来たかのような気分になります。村上康成さんの絵は、風の音や水のきらめきまで感じさせてくれて、本当に気持ちいい。セリフは少ないけれど、そのぶん自然の声や登場人物の気持ちがじんわり伝わってきます。家族で自然と向き合う時間の大切さをしみじみ感じられる絵本で、大人が読んでも心が整うような一冊。絵の美しさに癒やされたいときに、手に取りたくなる絵本です。