
『よるのきかんしゃ、ゆめのきしゃ』は、シェリー・ダスキー・リンカーが文を、トム・リヒテンヘルドが絵を手掛け、福本友美子さんが翻訳した絵本です。原作のタイトルは『Steam Train, Dream Train』で、2013年にアメリカで出版されました。日本語版は2013年にひさかたチャイルドから刊行されています。物語は、夜の静けさの中、蒸気機関車がやってきて、動物たちが貨車にさまざまな荷物を積み込む様子を描いています。冷蔵車にはアイスクリーム、タンク車には絵具、他にも砂場の砂やおもちゃなど、多彩な貨車と荷物が登場し、読者を夢の世界へと誘います。
略歴
シェリー・ダスキー・リンカー
シェリー・ダスキー・リンカー(Sherri Duskey Rinker)は、アメリカ・イリノイ州在住の作家です。幼少期、祖母が読んでくれたバージニア・リー・バートンの乗り物絵本に親しみ、乗り物への関心を深めました。結婚後、夫と二人の息子と共に暮らし、息子たちが幼い頃、寝る前に静かに眠りにつくことを願って『おやすみ、はたらくくるまたち』を執筆しました。この作品は、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーリストで第1位を獲得し、日本でも15万部を超える人気絵本となりました。他の作品には、『よるのきかんしゃ、ゆめのきしゃ』や「はたらくくるまたち」シリーズなどがあり、いずれも働く乗り物をテーマにした心温まる物語で、多くの読者に親しまれています。
トム・リヒテンヘルド(絵)
トム・リヒテンヘルド(Tom Lichtenheld)は、アメリカのイラストレーター、作家として知られています。ウィスコンシン大学を卒業後、ミネアポリスの広告会社に16年間勤務し、広告業界で数々の賞を受賞しました。その後、フリーランスとなり、絵本制作に取り組む時間を持つようになりました。2000年には、初の絵本『Everything I Know about Pirates』を発表し、絵本作家としてのキャリアをスタートさせました。
彼の作品は、ユーモアと創造性に富んでおり、子どもたちだけでなく大人にも愛されています。邦訳された作品には、『アヒルかも! ウサギかも!』や『おやすみ、はたらくくるまたち』、『よるのきかんしゃ、ゆめのきしゃ』などがあります。これらの作品は、日本でも多くの読者に親しまれています。
また、エイミー・クラウス・ローゼンタールとの共作、『おかあさんはね』や『ぼくはびっくりマーク』など、心温まる作品も手掛けています。
福本 友美子(訳)
福本友美子(ふくもと ゆみこ、1951年東京都生まれ)は、慶應義塾大学文学部図書館・情報学科を卒業後、調布市立図書館で児童サービスに携わりました。1980年からフリーランスで児童書の翻訳や批評、編集に取り組み、英語圏を中心とした児童文学の翻訳に定評があります。代表作に『おすわりくまちゃん』や『おやすみくまちゃん』、『リディアのガーデニング』などがあります。また、国際子ども図書館の活動やケニアでの図書館設立プロジェクトにも貢献し、子どもの読書普及や翻訳を通じて幅広く活動を続けています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3歳から5歳程度とされています。乗り物や動物が好きな幼児に適しており、就寝前の読み聞かせにも最適です。リズミカルな文章と美しいイラストが、子どもたちの想像力を刺激し、心地よい眠りへと導いてくれるでしょう。
レビュー
本作は、夜の情景と動物たちの活動を通じて、子どもたちに安心感と夢見る楽しさを提供しています。リズミカルな文章と詳細に描かれたイラストレーションが組み合わさり、読者を物語の世界に引き込みます。特に、各貨車に積まれるユニークな荷物や、それを扱う動物たちの姿は、子どもたちの好奇心をくすぐります。就寝前のひとときに親子で読みながら、穏やかな気持ちで一日を締めくくるのにぴったりの一冊です。