いし/中川ひろたか

中川ひろたかさん作、高畠那生さん絵の『いし』(2020年、アリス館)は、なんと“あさりスパゲッティを食べていたら石が出てきた!”という衝撃(?)の出来事からスタート。小さな石がどこから来たのかを調べるため、「ぼく」はお母さんと一緒に、石の旅に出発します。途中からお父さん(だじゃれ好き!)も加わり、石の成り立ちや、自然との関係がユーモアたっぷりに語られていきます。読めば読むほど石が気になってくる、まさに“石の世界への入り口”みたいな科学絵本です!

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

高畠 那生(絵)

高畠 那生(たかばたけ なお)さんは、1978年に岐阜県で生まれ、東京造形大学美術学科を卒業されました。2003年に『ぼく・わたし』(絵本館)でデビューし、その後、多くの絵本を手掛けています。代表作には、『カエルのおでかけ』(フレーベル館)、『バナナじけん』(BL出版)、『うしとざん』(小学館)などがあり、これらの作品で日本絵本賞や産経児童出版文化賞ニッポン放送賞などを受賞されています。

おすすめ対象年齢

『いし』は、5歳くらいから小学校中学年あたりまでの子どもにおすすめです。科学的な視点とユーモアが組み合わさっていて、読み聞かせでも一人読みでも楽しめます。石にあまり興味がなかった子でも、「なんで?」「どうして?」と自然に考えたくなる工夫がいっぱい!学びの入り口にぴったりな絵本です。

レビュー

「石ってこんなに面白かったっけ?」と思わせてくれる一冊。日常の中の「なんだこれ?」という小さな出来事を、ここまでスケール大きく、楽しく描いてくれる中川さんの発想にまず脱帽!お母さんの行動力とお父さんのだじゃれもいい味出していて、読みながらクスッと笑えます。高畠那生さんの個性的なイラストも、石の旅にぴったり。読み終わったあと、つい足元の石を拾ってじーっと眺めてしまうような、“気づき”がいっぱいの絵本です。