『さつまのおいも』(1995年・童心社)は、中川ひろたかさんのユーモアたっぷりの文に、村上康成さんの生き生きとした絵が光る、ちょっと不思議でとっても楽しい絵本です。土の中でしっかり生活し、運動して、ごはんも食べるおいもたち。そこへ子どもたちがやってきて、いよいよ「つなひき」バトルが勃発! おいもたちの必死な表情や、「プップップーッ」とにぎやかな音が飛び交うユーモラスな展開に、子どもも大人も思わず笑ってしまいます。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
村上 康成(絵)
村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3歳〜小学校低学年ごろまでが目安です。ユーモアのあるストーリーと、わかりやすい展開、そしておいもの表情豊かな絵が、小さな子どもたちの心をつかみます。読み聞かせにもぴったりで、食育や秋の行事にも活用できます。
レビュー
はじめて読んだとき、「おいもがこんなにパワフルで生活感あるなんて!」と笑ってしまいました。運動したり、ごはんを食べたり、仲間とがんばったり……おいもたちの暮らしがユニークで、妙に共感してしまいます。つなひきの場面はテンポがよく、読み聞かせでも盛り上がること間違いなし。「プップップーッ」という音のくり返しも楽しくて、声に出して読みたくなる絵本です。秋の読み聞かせや、さつまいも掘りの前にもぴったり!