たっちゃんぼくがきらいなの/さとうとしなお

『たっちゃんぼくがきらいなの』(岩崎書店、1996年)は、さとうとしなおさん作、みやもとただおさんのイラストによる絵本です。主人公の「ぼく」は、手をつないでも逃げてしまったり、突然大声を出すたっちゃんと遊びたいのに、なぜそうするのか理解できません。この絵本は、たっちゃんの行動を通じて自閉症への理解を助ける内容となっており、巻末には児童精神科医の解説が付いています。

略歴

さとうとしなお

さとうとしなお氏は1955年、山形県生まれの児童文学作家です。児童文学を滋野透子氏に師事し、子どもたちの視点を大切にした作品を執筆してきました。代表作の一つである『たっちゃんぼくがきらいなの』は、自閉症の子どもへの理解を深める絵本として広く読まれています。この作品では、主人公の「ぼく」が自閉症の友達・たっちゃんと関わる中で、彼の行動を理解しようとする姿が描かれています。子どもたちだけでなく、大人にも考えさせられる内容となっています。読者が多様性を理解するきっかけとなる作品を数多く手がけました。

みやもとただお(絵)

みやもとただおさんは、1947年に東京都で生まれました。1978年に発表した『えんとつにのぼったふうちゃん』(ポプラ社)で絵本にっぽん賞を受賞し、1981年には『ゆきがくる?』(銀河社)で産経児童出版文化賞を受賞しています。その他の作品には、『さらばゆきひめ』(童心社)、『ももうりとのさま』(小学館)、『川の中で』(くもん出版)などがあります。彼の作品は、子どもたちの心に寄り添う温かいストーリーと、独特のタッチで描かれたイラストが特徴です。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、3歳から小学校低学年までとされています。幼児から自閉症について理解を深めるのに適した内容となっています。

レビュー

本作は、子どもたちが自閉症の友達を理解するための優れた導入書です。たっちゃんの行動に対する「ぼく」の疑問を通じて、読者も一緒に考え、理解を深めることができます。みやもとただおさんの温かみのあるイラストが、物語をより親しみやすくしています。巻末の専門家の解説も、保護者や教育者にとって有益です。