おしゃべりなたまごやき/寺村 輝夫

​『おしゃべりなたまごやき』は、寺村輝夫さんが文を、長新太さんが絵を手がけた絵本で、1972年に福音館書店より刊行されました。物語は、たまごやきが大好きな王さまが、散歩中ににわとり小屋からにわとりを逃がしてしまうことから始まります。お城中が犯人探しで大騒ぎになる中、夕食の目玉焼きにナイフを入れると、不思議な声が聞こえてきます。果たして、犯人は見つかるのでしょうか?

略歴

寺村 輝夫

寺村 輝夫(てらむら てるお,1928年 – 2006年)さんは、東京都出身の児童文学作家です。​戦後、早稲田大学に入学し、在学中に「早大童話会」に所属して創作童話を志しました。​1956年に「ぞうのたまごのたまごやき」を発表し、以降、「ぼくは王さま」シリーズをライフワークとして執筆しました。​1961年には『ぼくは王さま』で毎日出版文化賞を受賞し、1980年には『あいうえおうさま』で絵本にっぽん賞を受賞しました。​1984年には「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により巌谷小波文芸賞を受賞しました。​「ぼくは王さま」シリーズ以外にも、「寺村輝夫のとんちばなし・むかしばなし」「おはなしりょうりきょうしつ」「わかったさんのおかし」「かいぞくポケット」など、子どもに人気のシリーズを多く手がけました。

長 新太

長 新太(ちょう しんた,1927年 – 2005年)さんは、日本の漫画家・絵本作家・エッセイスト。東京都大田区出身。戦後、映画館の看板屋を経て、1948年に東京日日新聞の漫画コンクールで入選し、漫画家としてデビュー。その後、絵本作家としても活動を広げ、『ごろごろにゃーん』、『ぼくのくれよん』、『タコのバス』などユーモアあふれる作品を発表し、子どもから大人まで広く愛されました。1959年に文藝春秋漫画賞を受賞し、1994年には紫綬褒章を受章。2005年には『ないた』で日本絵本賞大賞を受賞。享年77歳。

おすすめ対象年齢

『おしゃべりなたまごやき』の対象年齢は、3歳から小学校低学年までが適しているとされています。ユーモラスな展開や王さまの個性的な行動に笑いながら楽しめます。また、小学校低学年になると、自分で読むことで物語の面白さやナンセンスな要素をより深く味わえるでしょう。長新太さんの独特なイラストも、子どもたちの想像力を広げるのにぴったりです。親子の読み聞かせにも適した作品です。

レビュー

『おしゃべりなたまごやき』は、ナンセンスでユーモラスな世界観が魅力の一冊です。王さまのちょっとわがままでお茶目な性格や、おしゃべりをするたまごやきの意外な展開が、子どもも大人も思わずクスッと笑ってしまいます。長新太さんのゆるく大胆なイラストが物語の面白さをさらに引き立てており、シュールな雰囲気がクセになる作品です。また、寺村輝夫さん独特のリズミカルな文章は、読み聞かせにも最適で、親子で楽しい時間を過ごせます。王さまシリーズの中でも特に印象的な作品で、何度も繰り返し読みたくなる魅力があります。

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