たなばたまつり/松成 真理子

松成真理子さんの絵本『たなばたまつり』は、講談社の「季節と行事のよみきかせ絵本」シリーズとして、2010年に刊行されました。もうすぐ七夕。町のみんなが広場の笹に願いを書いた短冊を飾ります。七夕の夜になると、短冊から願いの言葉が空へと昇っていき……という物語です。「願いは、きっとかなう」というあたたかなメッセージが込められており、幻想的な夜の気配とともに、親子で楽しむ心温まる読み聞かせにぴったりの一冊です

略歴

松成 真理子

松成真理子さんは1959年生まれで、大阪府出身のイラストレーター・絵本作家。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)を卒業して、広告や雑誌のイラストの世界から絵本の世界へステップアップ。デビュー作『まいごのどんぐり』(童心社)で第32回児童文芸新人賞を受賞したのがきっかけ。主な作品には『じいじのさくら山』『ふでばこのなかのキルル』(白泉社)、『たなばたまつり』『はるねこ』(講談社)、『せいちゃん』(ひさかたチャイルド)、『ころんちゃん』(アリス館)などたくさんあって、ほんわかあったかい絵柄と物語が魅力です。

おすすめ対象年齢

『たなばたまつり』は読み聞かせに向くのが3歳ごろから、一人読みには6歳ごろから。また、絵本専門サイトによると、おおよそ「3歳〜5歳以上」のお子さんが楽しめるとも紹介されています。やさしい文章と季節感あふれるイラストで、小さな子どもたちにもぴったりの内容です。

レビュー

読み聞かせながら、ページいっぱいに広がる七夕の空を想像してワクワクしました。町の人々の短冊に込めた願いが、しんみりと感じられて、どれも大切な想いなんだなあと胸があたたかくなります。「願いは、きっとかなう」という前向きな言葉に背中を押されるような気持ちにもなりますね。星空と願いがひとつになる幻想的な描写も美しくて、心がふわっと軽くなる瞬間があります。親子で一緒に読めば、小さな子どもの「七夕って何?」という気持ちにも寄り添え、「こういう行事って素敵だね」と自然と伝わるのも魅力だと思いました。