
宮西達也さん作・絵の絵本『あいしてくれてありがとう』(ポプラ社、2008年発行)は、「ティラノサウルス」シリーズ第7巻にあたる感動の愛情物語です。ひとりぼっちで寂しさを抱えるパウパウサウルスと、強くて恐れられるが孤独なティラノサウルスが出会い、互いの心の傷を癒し合う姿が描かれます。目の見えないパウパウサウルスはティラノサウルスの恐ろしさに気づかず、素直な言葉で彼の心を動かします。やがて二人は心を通わせ、孤独から救われていきます。思いやりと優しさの大切さを伝える一冊です。
略歴
みやにし たつや
みやにし たつや(宮西達也)さんは1956年、静岡県駿東郡清水町に生まれました。日本大学芸術学部美術学科を卒業後、人形美術やグラフィックデザイナーとしての経験を積み、その後絵本作家としての道を歩み始めました。代表作には『おまえうまそうだな』や『おとうさんはウルトラマン』シリーズなどがあり、これらの作品で数々の賞を受賞しています。また、紙芝居やプラネタリウムの作品制作、エッセイ執筆など、多岐にわたる活動を展開しています。
おすすめ対象年齢
『あいしてくれてありがとう』は、主に4歳から6歳の幼児を対象とした絵本です。わかりやすい言葉と感情豊かなイラストで構成されており、読み聞かせにも最適です。友情や思いやり、愛情といった心の成長に関わるテーマが描かれており、幼児期の感受性を育むのにぴったりの内容です。大人が読んでも心に響く深いメッセージが込められています。
レビュー
この絵本は、読むたびに心が温かくなります。強くて怖い存在と思われていたティラノサウルスが、目の見えないパウパウサウルスの優しさに触れ、少しずつ心を開いていく様子に胸を打たれました。誰かに「愛してくれてありがとう」と言われることの重みと喜びが、シンプルな言葉で丁寧に描かれています。子どもだけでなく、大人にも響く深いメッセージが込められており、読み終えた後には優しい気持ちになれる一冊です。親子で一緒に読むことで、愛や思いやりについて話し合うきっかけにもなるでしょう。