どうぶつサーカスはじまるよ/西村 敏雄

西村敏雄さん作・絵の『どうぶつサーカスはじまるよ』(2009年 福音館書店)は、ユーモアとハラハラがいっぱいのサーカス絵本です。舞台にはライオンやカンガルーなど、愉快などうぶつたちが登場し、次々と楽しい芸を披露します。ところが、空中ブランコの名人サルくんがケガで出演できず、お客さんからはブーイングの嵐! 困った司会のアザラシさんは、みんなを楽しませるために大奮闘。果たしてサーカスは無事に盛り上がるのでしょうか? ユーモラスな展開と、温かいラストが心に残る一冊です。

略歴

西村 敏雄

西村敏雄(にしむらとしお,1964年愛知県生まれ)は、東京造形大学デザイン科卒。家具やテキスタイルのデザイン仕事を経て絵本作家に転身し、第1回日本童画大賞最優秀賞を受賞。代表作に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』など多数あり、キャッチーで温かみのある絵が特徴です。『いろいろおふろはいり隊!』でも、野菜キャラたちに豊かな表情とユーモアを与え、読者をぞの世界へ引き込みます。インタビューでは「人の顔や日常のちょっとした表情にヒントを得る」と語っており、親しみのある作風の背景がうかがえます。

おすすめ対象年齢

対象は3歳ごろから小学校低学年くらいがおすすめです。テンポよく進むストーリーと個性豊かなキャラクターが、読み聞かせにもぴったり。笑いやドキドキ感が詰まっているので、子どもたちがサーカスの世界に引き込まれやすい絵本です。

レビュー

この絵本は、サーカスという楽しい舞台を通して、ハプニングにどう立ち向かうかを描いているところが魅力的です。司会のアザラシさんの頑張りや工夫には、読んでいるこちらまで応援したくなります。子どもたちにとっては、笑いながらも「失敗しても工夫すれば大丈夫」という前向きなメッセージを感じられるはずです。西村敏雄さんならではのユーモラスで愛嬌のある動物たちの表情も見どころで、読み聞かせをすると盛り上がること間違いなしの一冊だと思います。