『ふぶきのあした』は、きむらゆういちさん作、あべ弘士さん絵による「あらしのよるに」シリーズの第6巻で、2002年に講談社から出版されました。オオカミのガブとヤギのメイは、種族を超えた友情を育んでいますが、仲間たちからの非難を受け、追われる身となります。二匹は新天地を目指して雪山を越えようとしますが、過酷な自然と追っ手の脅威に直面し、試練が続きます。友情の力と信頼の大切さを描いた感動の物語です。
略歴
きむら ゆういち
きむら ゆういちさん(本名:木村 裕一)は、1948年東京都生まれ。多摩美術大学を卒業後、造形教育の指導やテレビ幼児番組のアイディアブレーンなどを経て、絵本・童話作家として活躍されています。代表作には『あらしのよるに』シリーズ(講談社)や『あかちゃんのあそびえほん』シリーズ(偕成社)などがあり、国内外で1000冊以上の著書があります。『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞を受賞。また、純心女子大学の客員教授も務められています。
あべ 弘士(絵)
あべ 弘士(あべ ひろし)さんは1948年北海道旭川市生まれ。高校卒業後、旭山動物園の飼育員として25年間勤務し、その経験を活かして絵本作家へ転身。動物のリアルな描写や、力強くもやさしい絵が特徴で、『あらしのよるに』や『ゴリラにっき』など数々の作品を発表。1995年に『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。現在も北海道を拠点に、動物のいのちや自然をテーマに創作を続けています。
おすすめ対象年齢
『ふぶきのあした』は、5歳から小学校低学年の子どもたちにおすすめの絵本です。文字数が多めで、ストーリーも深みがあるため、読み聞かせでは5歳頃から、一人読みでは小学校低学年からが適しています。登場キャラクターの心の葛藤や友情の大切さを感じ取ることができ、成長段階に応じてさまざまな気づきを得られる作品です。
レビュー
ガブとメイの冒険が、いよいよ命がけの旅になってきて、読んでいてハラハラしました。仲間に追われ、行き場を失いながらもお互いを信じて前に進む姿がとても健気で、胸が熱くなります。吹雪の中を進むシーンでは、寒さと孤独、でも確かな絆が伝わってきて、思わず応援したくなりました。あべ弘士さんの迫力ある雪景色の描写も見ごたえがあり、物語の緊迫感がより際立ちます。読み終わったあとに、ふたりの絆の強さをしみじみ感じられる一冊です。