クレヨンからのおねがい!/ドリュー・デイウォルト

ドリュー・デイウォルトの絵本『クレヨンからのおねがい!』(原作名: The Day the Crayons Quit)は、2013年にアメリカで出版されました。この作品は、クレヨンたちが自分の役割について不満や要望を持っているというユニークな視点で描かれたお話です。

物語は、少年ケビン(英語版は少年ダンカン)がクレヨンを使おうとすると、クレヨンたちから手紙が届くところから始まります。各色のクレヨンが、それぞれの気持ちや要望を手紙で伝え、ケビンに「もっと使ってほしい」「この色ばかり使われて疲れた」などと訴えかけます。イラストはオリヴァー・ジェファーズによって描かれ、カラフルで生き生きとしたキャラクターたちの表情や動きが読者を魅了します。
この絵本は、ユーモアにあふれ、子どもたちに想像力や共感の大切さを教えてくれる一冊です。

ドリュー・デイウォルトの略歴

ドリュー・デイウォルト(Drew Daywalt 1970年生まれ)はアメリカの作家であり、特に児童文学で知られています。彼はオハイオ州の出身で、ボストン・カレッジで脚本と児童文学を専攻しました。キャリア初期には、ハリウッドでホラー映画や短編映画の脚本家やディレクターとして活躍し、独特のダークなユーモアと物語性を持つ作品で注目を集めました。

デイウォルトが児童文学に進出したのは2013年に出版された『クレヨンからのおねがい!』 (The Day the Crayons Quit) からで、この作品は瞬く間にベストセラーとなり、子どもたちに絶大な人気を博しました。続編として2015年に『かえってきたクレヨン』(The Day the Crayons Came Home) も出版され、これも高い評価を得ています。彼の作品はユーモアと創造性にあふれ、子どもたちの視点や感情を的確に捉えることで、親子で楽しめる内容となっています。

おすすめ対象年齢

『クレヨンからのおねがい!』は、一般的に4歳から8歳の子どもたちを対象にしています。この年齢層の子どもたちは、絵本のカラフルなイラストやユニークなキャラクター設定に惹かれやすく、クレヨンたちが抱える悩みやユーモラスな自己主張にも共感できる年頃です。また、この物語は色や感情について学ぶきっかけにもなるため、創造性を刺激し、色や形に対する興味を引き出す効果もあります。
親と一緒に読むことが多い年齢であれば、少しずつ自分で読み進める年齢へと変化する時期でもあります。このため、読み聞かせ用としても、自分で読む初めての絵本としても楽しめる作品です。

レビュー

『クレヨンからのおねがい!』は、子どもも大人も楽しめる創造的でユーモアあふれる作品です。物語の中で、さまざまな色のクレヨンがダンカンにそれぞれの「不満」や「お願い」を伝えるユニークな設定は、単なるカラフルな世界にとどまらず、キャラクターが本当に生きているように感じさせます。オリヴァー・ジェファーズのイラストも、クレヨンたちの気持ちをコミカルかつ愛らしく描き、各ページが心に残る印象を与えています。

この本が優れている点は、ユーモアを交えながら「自分らしさ」や「個性」についてさりげなく教えてくれるところです。それぞれのクレヨンが不平や不満を表明する中で、使われすぎてクタクタになってしまった赤や、まったく使われないベージュなど、クレヨンたちの声は子どもたちが感じる感情に似ている部分も多くあります。小さな子どもにとっては「自分もこう感じることがある」と共感しやすいですし、友達や家族が抱える感情について考えるきっかけにもなります。

さらに、親としてもこの絵本は共に楽しめる内容です。読み聞かせの中で、色や役割についての話を広げたり、それぞれのクレヨンの「声」に合わせて読み方を変えたりすることで、物語が一層楽しく、インタラクティブな体験になります。クレヨンの視点を借りて、子どもにとっての「心の声」を表現し、色に対する新たな見方や、想像力を育む素晴らしい絵本だと感じます。

もち主に大事にしてもらえないクレヨンたちがついに怒りを爆発させた!

続編もおススメです!

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