『むらをすくったかえる』(作:サトシン/絵:塚本やすし/2013年・ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、村人に嫌われた“よそ者がえる”が、命をかけて雨乞いの歌を歌い、村を救おうとする物語。ざまあみろと思いつつも、心の奥で「もし救えたなら…」と揺れるかえるの葛藤が胸に刺さります。ハッピーエンドではないけれど、深く考えさせられる一冊。塚本さんの力強く繊細な絵が、かえるの孤独と勇気を見事に描いています。
略歴
サトシン
サトシン(本名:佐藤伸/さとう しん)さんは1962年、新潟県生まれの絵本作家です。もともとは広告制作プロダクションに勤め、専業主夫を経て、フリーランスのコピーライターとして在宅で働きつつ、やがて絵本作家の道へ進みました。「お話の力の復権」を目指し、親子のコミュニケーション遊びとして「おてて絵本」を考案、ソング絵本の普及活動も精力的に行っています。代表作には、爆笑必至で子どもにも大人にも人気の『うんこ!』(絵:西村敏雄/文溪堂)、『わたしは あかねこ』(絵:西村敏雄/文溪堂)、そして『とこやにいったライオン』(絵:おくはらゆめ/教育画劇)や『でんせつの きょだいあんまんを はこべ』(絵:よしながこうたく/講談社)など、多彩なテーマとユーモアを交えた絵本を多数手がけています。「おてて絵本」のアイデアや全国での絵本ライブ活動など、絵本を読むだけでなく“場づくり”としての絵本文化を広げている点も、サトシンさんならではの魅力だと思います。
塚本 やすし(絵)
塚本やすしさんは1965年東京都墨田区生まれ。デザイン会社勤務を経て絵本作家に転身。食べ物や社会問題をテーマにした作品も多く、介護や戦争を描く際には実際に資格を取得するほどの“本物志向”。代表作には『このすしなあに』『はしれ!やきにくん』『やきざかなののろい』『しんでくれた』(谷川俊太郎・詩)などがあり、ユーモアと社会性を兼ね備えた作風が魅力です。
おすすめ対象年齢
対象年齢はおおよそ5歳〜小学生以上。物語の深さやテーマの重さから、大人にも響く内容です。読み聞かせにも向いていますが、子ども自身が読んで「よそ者」「助ける勇気」などについて考えるきっかけにもなります。親子でじっくり話し合いたくなる絵本です。
レビュー
読んでいて、かえるの「ざまあみろ」と「もし救えたなら…」の間で揺れる気持ちに、めちゃくちゃ共感しました。誰かに拒絶されたとき、どう向き合うかって、子どもも大人も悩むテーマですよね。塚本さんの絵は、かえるの孤独や決意をしっかり伝えてくれて、ページをめくるたびに心が動きます。サトシンさんの普段のユーモアとは違う、静かな力強さが光る作品。読後、しばらく余韻が残りました。

