ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス/ジャネット・アルバーグ,アラン・アルバーグ

『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』(原作名:The Jolly Christmas Postman)は、ジャネット・アルバーグとアラン・アルバーグ夫妻による絵本で、1991年にイギリスで初版が発行されました。翌年、日本語版は佐野洋子の訳により出版されています。物語は、クリスマスの時期にお届け物を運ぶゆうびんやさんが、童話のキャラクターたちの家を訪れる様子を描いています。本の中には手紙やカードが実際に封筒に入った状態で仕込まれており、子どもが楽しみながらページをめくれる仕掛け絵本となっています。クリスマスのワクワク感と温かさが詰まった一冊で、親子で楽しむのに最適な絵本です。

略歴

ジャネット・アルバーグ

ジャネット・アルバーグ(1944 – 1994)は、イギリス・ヨークシャー出身の絵本作家・イラストレーターです。レスター工芸大学でグラフィックデザインを学び、卒業後は新聞や雑誌のイラストレーターとして活動しました。その後、夫であるアラン・アルバーグと共に絵本制作を始め、彼女がイラストを、アランが文章を担当する形で多くの作品を生み出しました。代表作には『もものきなしのきプラムのき』(1978年)や『ゆかいなゆうびんやさん』(1986年)などがあり、これらの作品でケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。多くの作品は現在も世界中の読者に愛されています。

アラン・アルバーグ

アラン・アルバーグ(1938年生まれ)は、イギリスの絵本作家・詩人です。サンダーランド教育大学を卒業後、郵便配達員や墓掘り、教師など様々な職業を経験しました。その後、作家としての道を歩み始め、妻のジャネットと共に多くの絵本を制作しました。妻ジャネットの死後も、アランは他のイラストレーターと協力し、創作活動を続けています。

佐野 洋子(訳)

佐野 洋子さん(さの ようこ、1938年 – 2010年)は、日本の絵本作家、エッセイスト、翻訳家として知られています。中国・北京で生まれ、幼少期を北京や大連で過ごしました。戦後、家族とともに日本に引き揚げ、山梨県や静岡県で育ちました。武蔵野美術大学デザイン科を卒業後、白木屋デパートの宣伝部でデザイナーとして勤務しました。その後、ドイツのベルリン造形大学でリトグラフを学び、帰国後に絵本作家としての活動を開始しました。代表作『100万回生きたねこ』(1977年)は、哲学的な内容で大人からも高い評価を受けています。また、エッセイや『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』の翻訳など海外絵本の翻訳も手がけ、多彩な才能を発揮しました。2003年には紫綬褒章を受章し、2004年にはエッセイ集『神も仏もありませぬ』で小林秀雄賞を受賞しています。

おすすめ対象年齢

『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』は、3歳から小学校低学年(8歳)くらいまでのお子さんにおすすめです。仕掛け絵本として手紙やカードを読む楽しさがあり、ストーリーも理解しやすく親子で共有するのにぴったりです。また、童話のキャラクターが登場するため、童話を知っている子どもはさらに楽しめます。

レビュー

この絵本は、仕掛け絵本としての魅力が最大の特徴です。封筒を開けたり手紙を引き出したりする体験は、子どもたちにとって特別な驚きと喜びを与えます。ストーリー自体もクリスマスの雰囲気に満ちており、登場するキャラクターたちが織りなすエピソードがユーモアと温かさを感じさせます。また、アラン・アルバーグの繊細でユーモラスな物語と、ジャネット・アルバーグの優しいイラストが調和しており、大人も懐かしさを感じながら楽しめます。親子で楽しむ時間を豊かにしてくれる素晴らしいクリスマス絵本です。

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