
ジーン・ジオン作、マーガレット・ブロイ・グレアム絵の『はちうえはぼくにまかせて』(原題:The Plant Sitter)は、1959年にアメリカで発行され、日本語版は1981年にペンギン社から刊行されました。夏休みに旅行へ行けない少年トミーが、近所の人々の鉢植えを預かり世話をすることで植物が成長し、家の中がジャングルのようになる様子が描かれます。剪定の方法を学び、植物を適切に手入れすることで成長する彼の姿が魅力的です。
略歴
ジーン・ジオン
ジーン・ジオン(Gene Zion、1913年 – 1975年)はアメリカの児童文学作家で、特に絵本「どろんこハリー」シリーズシリーズで広く知られています。ニューヨークで生まれ育ち、デザインと美術のバックグラウンドを持っていた彼は、戦時中はアメリカ陸軍に従軍し、その後はデザイン会社で働くようになりました。絵本作家としてのキャリアを本格的にスタートさせたのは、妻のマーガレット・ブロイ・グレアムと協力した作品がきっかけです。ジーン・ジオンは、動物や子供たちの視点からユーモラスに日常生活を描くことに長けており、独特の温かさと親しみやすさが作品全体にあふれています。彼が手掛けた絵本の多くは、マーガレット・ブロイ・グレアムが挿絵を担当し、特に「どろんこハリー」シリーズは大きな成功を収めました。この作品は世界中で翻訳され、数世代にわたって愛されています。彼の作品は、シンプルな文体と温かみのある物語で、子供たちに「家族」「冒険」「発見」といった普遍的なテーマをわかりやすく伝えています。
マーガレット・ブロイ・グレアム(絵)
マーガレット・ブロイ・グレアム(Margaret Bloy Graham、1920年生まれ)は、カナダ出身の絵本作家・イラストレーターです。トロント大学で美術を学び、卒業後はニューヨークに移住しました。1956年、ジーン・ジオン(Gene Zion)と共に制作した『どろんこハリー(Harry the Dirty Dog)』で広く知られるようになりました。この作品は、汚れることが大好きな犬ハリーの冒険を描いており、子供たちに愛されています。グレアムは、ジオンとのコラボレーションで多くの作品を手掛け、彼女自身も作家として活動しました。彼女のイラストは、シンプルでありながら感情豊かで、物語に命を吹き込むと評価されています。
森 比左志(訳)
森 比左志(もり ひさし)は、1917年に神奈川県津久井郡で生まれ、鎌倉師範学校を卒業後、小学校教師として勤務しました。教育者としての経験を活かし、児童文学作家や翻訳家としても活躍しました。特に、エリック・カールの『はらぺこあおむし』やガブリエル・バンサンの作品など、多くの絵本の翻訳を手掛けました。また、わかやまけんの「こぐまちゃんえほん」シリーズの制作にも関わり、こぐま社の設立にも参加しました。2018年に亡くなるまで、教育者、歌人、児童文学作家として多彩な活動を続けました。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、出版社のおすすめとして3歳以上とされています。物語の内容や絵の表現から、幼児から小学校低学年まで幅広い年齢層の子どもたちが楽しめる作品です。
レビュー
『はちうえはぼくにまかせて』は、子どもの好奇心や責任感、そして植物を育てる喜びが丁寧に描かれた作品です。トミーの自主的な行動と成長が描かれており、子どもたちに自己肯定感や達成感を伝える内容となっています。また、家族や地域社会との関わりも描かれており、コミュニケーションの大切さや他者への思いやりを学ぶきっかけとなるでしょう。絵の細部まで丁寧に描かれており、読者の想像力を刺激する作品です。