クリス・ヴァン・オールズバーグ作・絵、村上春樹訳の『急行「北極号」』(あすなろ書房、2003年)は、クリスマスイブに少年が急行「北極号」に乗って北極点を目指す幻想的な物語。真夜中の蒸気機関車に乗り込むと、そこにはパジャマ姿の子どもたちがたくさん。雪原や山々を越え、たどり着いた北極では、サンタクロースから一人の子どもだけが「クリスマスプレゼントの第一号」を受け取るチャンスが!美しい絵と繊細な文章で、クリスマスの魔法を感じられる一冊です。
略歴
クリス・ヴァン・オールズバーグ
クリス・ヴァン・オールズバーグ(Chris Van Allsburg)は、1949年アメリカ・ミシガン州グランドラピッズ生まれの絵本作家・イラストレーターです。ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)で彫刻を学び、後に絵本の世界へ。1980年『ジュマンジ』でコルデコット賞を受賞し、1986年には『急行「北極号」』で2度目の同賞を受賞。幻想的でリアルな鉛筆画と、現実と空想が交錯する物語が特徴です。作品は多数映画化されており、世界中の読者に愛されています。
村上 春樹(訳)
村上春樹さんは1949年、京都に生まれ、兵庫県で育ちました。早稲田大学では演劇を学び、在学中から音楽好きで、後にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開きます。29歳のとき、ふと野球を観ながら小説を書いてみようと思い立ち、処女作『風の歌を聴け』でデビュー。それがいきなり芥川賞候補になり注目されました。その後も『ノルウェイの森』や『海辺のカフカ』『1Q84』など、多くのベストセラーを生み出し、日本だけでなく世界中で愛される作家に。独特の透明感ある文体と、音楽や夢、記憶などをテーマにした幻想的な世界観が特徴です。翻訳も多く手がけ、レイモンド・カーヴァーやフィッツジェラルドの作品紹介にも力を入れています。
おすすめ対象年齢
対象年齢はおおよそ3歳から小学校中学年くらいがおすすめです。少し長めの文章と幻想的なストーリー展開があるので、読み聞かせには3歳以上、自分で読むには7〜9歳がぴったり。クリスマスの雰囲気を楽しみながら、想像力を広げるのにぴったりな一冊です。
レビュー
『急行「北極号」』は、読むたびに「信じること」の大切さを思い出させてくれる絵本です。ページをめくるごとに広がる幻想的な絵は、まるで映画のワンシーンのよう。特にサンタクロースと出会う場面は心が温かくなります。村上春樹さんの訳も自然で、静かに物語の世界に引き込んでくれます。子どもだけでなく、大人にとっても心に残るクリスマスの一冊です。プレゼントにもおすすめ!わたしも鈴の音が聞こえない大人になっているかも・・・。