星どろぼう/アンドレア・ディノト

『星どろぼう』は、作:アンドレア・ディノト、絵:アーノルド・ローベル、訳:やぎたよしこさんによるファンタジックな絵本です。原題は The Star Thief、アメリカのMacmillan社から1967年に初版が刊行されました。日本語版は1980年にほるぷ出版より刊行され、子どもたちの夢を育む朗らかなストーリーとして親しまれています。どろぼうは空の星を全部盗んでしまったけれど、村のみんなの“願いごと”が星を空に戻すというユーモアと温かさあふれる展開が魅力的です。

略歴

アンドレア・ディノト

アンドレア・ディノト(Andrea DiNoto)さんはニューヨーク在住の女性作家で、出版社や劇場で働いた経験もあるクリエイター。『星どろぼう』の原作となる“空の星を盗むどろぼう”というユニークな物語を、詩的なタッチで描いています。具体的な誕年や経歴については公開された情報が乏しいものの、この作品を通じて子どもの心に残る“願い”や“親近感のある冒険”を届けた作家さんとして知られています。

アーノルド・ローベル

アーノルド・スターク・ローベル(Arnold Lobel、1933年 – 1987年)は、ロサンゼルス生まれの画家兼作家。プラット美術学校卒業後、児童書を中心に執筆・イラストを手がけました。代表作は「がまくんとかえるくん」シリーズ(1970‑79年)、Caldecott Honor『ふたりはともだち』、Newbery Honor『ふたりはいつも』、Caldecott Medal『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』など、多くの賞を受賞。子どもの心に寄り添う優しいタッチとユーモアを織り交ぜた作風は、現代でも愛され続け、1970~80年代にかけ日本でも翻訳・出版が進みました。

まきた まつこ(訳)

やぎたよしこさんは、多くの作品の日本語訳に携わる翻訳家であり、『星どろぼう』を1980年にほるぷ出版から日本の読者に届けた方です 。やさしくて子どもの心にしっかり寄り添う表現が特長で、多くの図書館や子ども向け出版物にも名前が見られます。具体的なプロフィールや経歴は確認できませんでしたが、やぎたさんの訳によって、日本の子どもたちに、あたたかなファンタジーがしっかり届いていることは間違いありません。

おすすめ対象年齢

『星どろぼう』は、5~6歳頃から楽しめる絵本です。文章は多めですがシンプルで理解しやすく、星の不思議な展開も幼い子にとって興味深い世界です。また、願いごとを通じて星が戻る暖かい結末は、就学前から小学低学年の子どもたちにも深く響くでしょう。

レビュー

『星どろぼう』は、ほんとに心に染みる一冊です。星を全部盗んじゃうどろぼうの大胆さに「えー!」とびっくりしつつ、村のみんなの“願いごとで星が戻る”という展開にほっこりします。特に、子どもが指を一本差し出すシーンが鮮やかで、願う力の純粋さにじんとくる…!ローベルさんの柔らかい絵が、夜空のきらめきを優しく伝えてくれて余韻も心地いい。やぎたさんの訳もふんわり日本語に溶け込んでいて、読み聞かせにぴったりです。読後は自分も“願いごとしたくなる”、そんなあたたかな気持ちに包まれます。