『ふたごのもうふ』は、韓国出身の絵本作家ヘウォン・ユンさん(Hyewon Yum)による作品で、原題は『The Twins’ Blanket』、2011年にアメリカで発行されました。日本語版はせなあいこさんの翻訳により、2012年に出版されました。この絵本は、何でも一緒に分け合ってきた双子の姉妹が、成長に伴い一枚の毛布を共有できなくなり、新しい毛布を作る過程で初めて別々のものを持つ経験を描いています。お母さんがそれぞれの好みに合わせて新しい毛布を手作りする場面では、韓国の伝統的な布の美しさも楽しめます。姉妹の微笑ましいやり取りを通じて、成長と自立の一歩を踏み出す様子が温かく描かれています。
略歴
ヘウォン・ユン
ヘウォン・ユンさん(Hyewon Yum)は、韓国・ソウル生まれの絵本作家で、ソウル大学で絵画と版画を学び、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツで美術の修士号を取得しました。彼女の作品は、版画の技法を活かした独特のスタイルが特徴で、デビュー作『Last Night』や『There Are No Scary Wolves』などがあります。3作目の『The Twins’ Blanket』は、彼女自身が双子である経験を基に制作され、日本語版『ふたごのもうふ』として2012年に紹介されました。彼女の作品は、家族や子どもの成長を温かく描いており、国際的にも評価されています。
せな あいこ(訳)
せなあいこさんは、東京生まれで、同志社大学文学部を卒業。出版社に勤務しながら翻訳の仕事に携わっています。主な翻訳絵本に『ババールの美術館』『ゆきだるまはよるがすき!』『ケーキがやけたら、ね』(いずれも評論社)、『かぼちゃスープ』『うごいちゃだめ!』などがあります。
おすすめ対象年齢
『ふたごのもうふ』は、主に幼児から小学校低学年の子どもたちを対象としています。特に、兄弟姉妹や友だちとの共有や自立に興味を持ち始める3歳から7歳頃の子どもたちに適しています。シンプルで温かみのあるストーリーとイラストが、子どもたちの共感を引きやすく、読み聞かせにも最適です。
レビュー
『ふたごのもうふ』は、双子の姉妹が一緒に使っていた毛布を巡るエピソードを通じて、成長と自立の過程を丁寧に描いています。お母さんが二人のために新しい毛布を手作りする場面では、韓国の伝統的な布の美しさが際立ち、異国情緒を感じさせます。姉妹の微妙な感情の変化ややり取りが繊細に表現されており、読者は自然と物語に引き込まれます。また、成長に伴う変化や新たな経験に対する子どもたちの戸惑いと喜びがリアルに描かれており、親子で読むことで共感と理解を深めることができるでしょう。全体を通して、家族の絆や個々の成長を温かく見守る視点が感じられる、心温まる作品です。