マーシャ・ブラウンの絵本『三びきのやぎのがらがらどん』(1859年)は、ノルウェーの昔話をもとにした絵本で、ユーモラスでちょっとドキドキする内容が子どもたちに大人気です。このお話は、3匹のやぎ「がらがらどん」が美味しい草を求めて橋を渡ろうとするところから始まります。しかし、その橋の下には恐ろしいトロル(怪物)が潜んでいて、やぎたちを食べようと待ち構えています。
絵本の魅力は、何といってもマーシャ・ブラウンの独特なイラストです。大胆な線と色使いが印象的で、やぎたちの勇気やトロルの迫力が迫真の表現で描かれています。物語が進むにつれ、小さなやぎから大きなやぎへと順に橋を渡っていく場面は、リズミカルで読み聞かせにもぴったりです。
また、この物語は「小さいものでも知恵を使えば勝つことができる」という教訓を含んでおり、子どもたちに勇気と知恵の大切さを伝えます。親しみやすい言葉と繰り返しのリズムが、子どもたちに物語をわかりやすく、楽しく伝えてくれます。ブラウンの巧みなイラストと共に、子どもも大人も楽しめる名作絵本です。
マーシャ・ブラウンは、アメリカの著名な絵本作家であり、この絵本も長年愛され続けている作品です。読み聞かせや家族での共有に最適な一冊と言えるでしょう。
マーシャ・ブラウンの略歴
マーシャ・ブラウン(Marcia Brown、1918年 – 2015年)は、アメリカ、ニューヨーク州ロチェスター生まれの著名な絵本作家であり、イラストレーターです。
彼女は豊かな感性と独特の絵画スタイルで知られ、『三びきのやぎのがらがらどん(The Three Billy Goats Gruff)』や『影ぼっこ(Shadow)』や『ストーン・スープ(Stone Soup)』など、多くの名作を生み出しました。マーシャ・ブラウンの作品は、文学性と芸術性の高さで評価され、カーネギーメダルや3度のコールデコット賞を受賞しています。特に、異なる文化や民話を題材にした作品が多く、読者に異文化理解を促しました。また、教育者としても活躍し、子どもたちへの読み聞かせを通じて、絵本の魅力を広めました。その生涯を通じて、彼女は絵本を通じて子どもたちの想像力を育むことに情熱を注ぎ、児童文学に多大な貢献をした作家であり、今もなお多くの人々に愛されています。
おすすめ対象年齢
マーシャ・ブラウンによる絵本「三びきのやぎのがらがらどん」の対象年齢は、3歳ぐらいからと言われています。
この絵本では、小さな幼児は一番小さいやぎ、3歳くらいの子どもは真ん中のやぎの気持ちでと、三びきのそれぞれのやぎと自分を重ねることができるかも。
レビュー
マーシャ・ブラウンの『三びきのやぎのがらがらどん』は、何度読んでも面白い、シンプルで力強い物語だと感じます。この絵本の素晴らしいところは、緊張感とコミカルさが絶妙にバランスしている点です。やぎたちが「がた こと」「がた ごと」「がたん ごとん」と橋を鳴らして渡るたびに生まれるドキドキ感や、トロルが出てくる場面の迫力は、子どもたちがページをめくるごとに物語に引き込まれていくように描かれています。
また、マーシャ・ブラウンのイラストはとても力強く、視覚的なインパクトがあります。コントラストが特に印象的で、トロルの恐ろしさややぎたちの表情、そして物語の緊張感がよく伝わってきます。このシンプルで強い線は、幼い読者にも理解しやすく、物語に集中させる効果を持っていると思います。
さらに、この絵本は子どもたちが勇気と知恵について学ぶ良いきっかけにもなります。小さなやぎから順番に橋を渡り、最終的には一番大きなやぎがトロルをやっつける展開は、やぎたちがそれぞれの力をうまく使って困難を乗り越える姿が描かれています。この教訓はシンプルですが深く、何度も読み返すことで自然に身についていくものだと感じます。
全体的に『三びきのやぎのがらがらどん』は、子どもたちにとって楽しいだけでなく、勇気や知恵を考えるきっかけを与えてくれる絵本です。