『きれいずきティッチ』(原題 Tidy Titch)は、1991年にイギリスで刊行されたパット・ハッチンスの人気シリーズ第2作。お兄ちゃんとお姉ちゃんの散らかった部屋を見て「ぼく、てつだうよ」と意気込んだティッチ。せっせとおもちゃを運び出して、兄姉の部屋は見事スッキリ!でも……最後に残ったのは、自分の部屋に山積みになったおもちゃの山。きれいずきなティッチのはずが、一番ごちゃごちゃしてるのは自分の部屋!?というユーモラスなオチで終わります。1996年に星川菜津代さん訳で日本語版が出版され、今も親子で笑って楽しめる1冊です。
略歴
パット・ハッチンス
パット・ハッチンス(Pat Hutchins、1942–2017)は、イギリス・ヨークシャー出身の絵本作家兼イラストレーター。ダーリントン美術学校やリーズ美術専門大学で学び、卒業後はロンドンの広告代理店勤務を経て1968年に児童書界へ進出。デビュー作の『Rosie’s Walk(ロージーのおさんぽ)』が高評価を受け、代表作『風がふいたら』(1974)ではケイト・グリーナウェイ賞を受賞しました。その後『ティッチ』シリーズをはじめ、40冊以上の絵本を自作自画し、『Rosie and Jim』でテレビにも出演。英国児童文学界のアイコン的存在として活躍し、2017年にロンドンで永眠されました。
ほしかわなつよ(訳)
星川菜津代(ほしかわ・なつよ)さんは、日本の翻訳家・児童文学専門家。英語圏の絵本や児童書を数多く手がけ、マーガレット・ワイズ・ブラウン『よるとひる』や『きれいずきティッチ』など心温まる作品が多数。長年、子どもの視点に寄り添う自然な訳文と、翻訳後の親しみやすい音の響きを大切にしているのが特徴です。彼女の翻訳は、原作の魅力を日本の読者に伝えることに貢献しています。
おすすめ対象年齢
『きれいずきティッチ』は、2~5歳向けの読み聞かせにぴったり。部屋の片付けという日常ネタに、子ども自身が共感しやすく、親子で笑いながら一緒に「お片付けって楽しいね!」と話すきっかけに!絵が明るくて動きがテンポよいので、小さい子の集中力もしっかり引きつけます。
レビュー
ティッチの“きれいずき”っぷりに「おお、えらいじゃん!」って思いながら読んでたのに、最後のオチで思わず吹き出しました。兄弟の部屋をせっせと片付けてたと思ったら、全部自分の部屋に運び込んでただけっていう…!ティッチ本人は満足そうなのがまたおもしろくて、「片付けって何だっけ?」ってなる(笑)。でも、がんばる気持ちは本物だし、子どもの“自分なりの整理”を見守る大切さを感じました。お片付けに悩む親もクスッと笑えてちょっとラクになる、楽しい一冊です。