
エリック・カール作、もりひさし訳の絵本『月ようびはなにたべる?-アメリカのわらべうた』は、アメリカの伝統的なわらべうた「Today is Monday」を基にした作品です。原作はアメリカで発行され、エリック・カールの鮮やかなコラージュが特徴的です。日本語版は1994年に偕成社から出版されました。この絵本では、月曜日から日曜日までの各曜日に、象や猫、ペリカン、猿などのカラフルな動物たちが、スパゲッティやチキン、アイスクリームなどの食べ物を紹介します。リズミカルな文章と色彩豊かなイラストが組み合わさり、子どもたちの興味を引きつけます。
略歴
エリック・カール
エリック・カール(Eric Carle、1929 – 2021年)は、アメリカを代表する絵本作家・イラストレーターです。彼はドイツで育ち、14歳の時にアメリカから家族とともに移住しました。戦時下の厳しい生活の中、彼の芸術の才能は養われ、デザインやアートへの興味が深まっていきました。その後、アメリカへ戻り、ニューヨークで学び、卒業後は広告業界でグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートしました。そんな中、彼のイラストを見たビル・マーチンの依頼で『くまさんくまさんなにみてるの?』の挿絵を手がけたことがきっかけで、絵本作家としての道が開けます。1969年には、代表作となる『はらぺこあおむし』を出版。この作品は世界中で翻訳され、子どもたちに親しまれる名作となりました。カラフルでコラージュ技法を用いた独特な作風が特徴で、作品には自然や成長をテーマにしたものが多く、子どもたちの好奇心や想像力を刺激するものが多いです。
その後も多くの絵本を手がけ、教育的で遊び心のある作品を発表し続けました。彼の作品は、視覚的な美しさだけでなく、インタラクティブな要素を取り入れ、子どもたちが実際に体験しながら学べる構成が多いことでも知られています。
もり ひさし(訳)
もり ひさし(本名:森久保仙太郎)は、1917年に神奈川県津久井郡で生まれ、鎌倉師範学校を卒業後、小学校教師として勤務しました。教育者としての経験を活かし、児童文学作家や翻訳家としても活躍しました。特に、エリック・カールの『はらぺこあおむし』やガブリエル・バンサンの作品など、多くの絵本の翻訳を手掛けました。また、わかやまけんの「こぐまちゃんえほん」シリーズの制作にも関わり、こぐま社の設立にも参加しました。2018年に亡くなるまで、教育者、歌人、児童文学作家として多彩な活動を続けました。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は4歳~6歳程度とされています。リズミカルな文章とカラフルなイラストは、幼児の感性を刺激し、言葉のリズムや曜日の概念、さまざまな食べ物や動物への興味を育むのに適しています。また、親子で一緒に読み聞かせをすることで、コミュニケーションの促進や読解力の向上にも役立ちます。
レビュー
『月ようびはなにたべる?』は、エリック・カールの独特なコラージュ技法と鮮やかな色彩が際立つ作品です。各ページに描かれた動物たちと食べ物の組み合わせは、子どもたちの好奇心を刺激し、読み進める楽しさを提供します。また、リズミカルな文章は、読み聞かせの際に子どもたちが一緒に口ずさむことができ、言葉のリズム感を養うのに役立ちます。さらに、曜日ごとに異なる動物と食べ物が登場することで、曜日の概念を自然と学ぶことができます。親子で一緒に読むことで、楽しい時間を共有し、子どもたちの言語発達や認知能力の向上にも寄与するでしょう。