おやゆびひめ/アンデルセン

いもとようこさんが絵と訳を手掛けた『おやゆびひめ』は、デンマークの作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話を基に2006年に発行された絵本です。原作「Tommelise」は1835年にデンマークで発表されました。この絵本は、花の中から生まれた親指ほどの大きさの少女「おやゆびひめ」が、さまざまな困難を乗り越え、最後には王子様と幸せに暮らす物語です。いもとさんの温かみのあるイラストと優しい訳が、物語の魅力を引き立てています。

略歴

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

ハンス・クリスチャン・アンデルセン(Hans Christian Andersen,1805年 – 1875年)は、デンマークのオーデンセに生まれた童話作家・詩人です。貧しい靴職人の子として生まれ、幼少期から物語に親しみました。俳優を志してコペンハーゲンへ移るも挫折し、その後作家としての道を歩み始めます。30歳の時、イタリア旅行の体験を綴った『即興詩人』を出版し、作家として認められました。その後、『おやゆびひめ』『人魚姫』『みにくいあひるの子』『はだかの王さま』など、150編以上の童話を発表し、世界中で愛されています。

いもとようこ

いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、出版社のおすすめとして3歳から5歳となっています。しかし、いもとようこさんの優しい絵と親しみやすい文章は、幅広い年齢層の読者に楽しんでいただける内容となっています。親子での読み聞かせや、初めての一人読みとしても適しています。

レビュー

いもとようこさんの『おやゆびひめ』は、原作の持つファンタジックな世界観を、彼女独特の温かみのあるイラストと優しい訳で見事に表現しています。おやゆびひめの冒険と成長の物語は、子どもたちに勇気や希望を与えるとともに、大人にとっても心温まる作品です。ページをめくるごとに広がる美しい絵と物語に、読む人すべてが引き込まれることでしょう。

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