てぶくろがいっぱい/フローレンス・スロボドキン

『てぶくろがいっぱい』は、フローレンス・スロボドキン作、ルイス・スロボドキン絵による絵本で、原題は “Too Many Mittens”、1958年にアメリカで発行されました。物語は、赤い手袋を片方なくした双子の兄弟ネッドとドニーが、周囲の人々の親切心から次々と赤い手袋を届けられる様子を描いています。最終的に、彼らは集まった手袋を庭に飾り、持ち主が見つけられるよう工夫します。この作品は、コミュニティの温かさや助け合いの精神を伝える心温まる物語です。

略歴

フローレンス・スロボドキン

フローレンス・スロボドキン(Florence Slobodkin,1905年-1994年)は、アメリカ・ニューヨーク州出身の詩人・作家です。夫であるルイス・スロボドキンと共に、多くの絵本を制作しました。代表作には『てぶくろがいっぱい』や『ふたごのカウボーイ』などがあります。彼女の作品は、日常生活の中にある温かさや人々の優しさを繊細に描写しており、読者に深い感動を与えます。また、夫との共同制作により、物語とイラストが調和した魅力的な作品を数多く生み出しました。彼女の作品は、子どもたちだけでなく、大人にも愛され続けています。

ルイス・スロボドキン

ルイス・スロボドキン(Louis Slobodkin、1903年–1975年)は、アメリカの芸術家、作家、挿絵画家です。ニューヨーク州でウクライナ出身の両親のもとに生まれ、ニューヨークの美術学校を卒業後、彫刻家としてのキャリアをスタートさせました。その後、児童文学作家エレナー・エスティスとの出会いをきっかけに、児童書の挿絵を手がけるようになりました。彼の挿絵を担当した作品には、『元気なモファットきょうだい』や『百まいのドレス』などがあります。彼の作品は、温かみと親しみやすさが特徴で、子どもたちだけでなく大人にも愛されています。また、妻であるフローレンス・スロボドキンと共作した絵本も多く、夫婦で児童文学の世界に多大な貢献をしました。1975年に逝去しましたが、彼の作品は現在も多くの読者に親しまれています。

三原 泉

三原 泉(みはら いずみ)さんは、宮崎県生まれの翻訳家・編集者です。東京大学文学部を卒業後、出版社に勤務し、主にアメリカやイギリスの児童文学や絵本の翻訳・編集に携わっています。代表的な訳書には、『てぶくろがいっぱい』(偕成社)、『手と手をつないで』『モグラのねがいごと』『クリスマスイヴの木』(いずれもBL出版)などがあります。彼女の翻訳は、原作の魅力を日本の読者に伝えることに定評があります。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、4歳から6歳程度が適しています。物語の内容はシンプルでありながら、他者への思いやりやコミュニティの大切さを学ぶことができるため、幼児期の子どもたちに最適です。また、優しいイラストと温かいストーリー展開は、親子での読み聞かせにもぴったりです。

レビュー

この絵本は、手袋をなくした双子の兄弟が、周囲の人々の親切心から次々と手袋を届けられるというシンプルながらも心温まる物語です。物語を通じて、コミュニティの温かさや助け合いの精神が伝わってきます。また、ルイス・スロボドキンの柔らかいタッチのイラストが、物語の雰囲気をより一層引き立てています。読後には、心がほっこりと温かくなる一冊であり、子どもだけでなく大人にもおすすめしたい作品です。

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