きんぎょのトトとそらのくも/にしまき かやこ

『きんぎょのトトとそらのくも』は、にしまきかやこさんが絵と文を手がけ、1970年にこぐま社から出版された絵本です。​主人公の金魚・トトは、金魚鉢の中でひとりぼっち。​毎日、窓の外を眺めては、空を流れる雲や飛び交う小鳥たちに思いを馳せています。​ある日、トトは自分にそっくりな形の雲を見つけ、「ぼくの友だちなんだ」と感じます。​小鳥に赤い風船をつけてもらい、空へと旅立つトトの冒険が描かれます。​にしまきさん特有のクレヨンのような柔らかな線と明るい色彩が、子どもの想像力を豊かに刺激します。​本作は、全国学校図書館協議会選定図書および中央児童福祉審議会推薦文化財にも選ばれています。​

略歴

にしまきかやこ

にしまきかやこ(西巻 茅子)さんは、1939年、東京都世田谷区に生まれました。東京芸術大学工芸科を卒業後、リトグラフやエッチングを学び、日本版画協会展で新人賞や奨励賞を受賞しています。その後、絵本作家として活動を始め、『わたしのワンピース』や『ちいさなきいろいかさ』など、多くの作品を手掛けました。彼女の作品は、リトグラフや刺繍など多彩な技法を用いた温かみのある絵柄が特徴です。

おすすめ対象年齢

この絵本は、3歳から5歳の幼児を対象としています。​優しい色合いとシンプルなストーリーが、幼い子どもたちの感性や想像力を育むのに適しています。​読み聞かせにも最適で、親子で一緒に楽しめる内容となっています。

レビュー

私自身、この絵本を読んで、トトの純粋な心と冒険心に心を打たれました。​孤独な金魚が空を見上げ、友だちを求めて旅立つ姿は、子どもたちの無限の想像力と希望を象徴しているように感じます。​にしまきさんの温かみのあるイラストと、静かで詩的な文章が相まって、読む者の心に深く響きます。​大人が読んでも、心がほっこりと温まる一冊です。

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