
いもとようこさんの絵本『まちのねずみといなかのねずみ』は、イソップ寓話を基に、田舎と町の生活の違いを温かみのあるイラストで描いた作品です。2006年に日本の金の星社から発行されました。いなかのねずみが町のねずみを自宅に招き、朝摘みのいちごや葉っぱの布団でもてなしますが、町のねずみは物足りなさを感じます。その後、いなかのねずみが町を訪れると、豪華な食事に喜ぶものの、猫の襲来に怯え、結局、質素でも安全な田舎の生活の良さを再認識します。この物語は、子どもたちに安全や満足について考えさせるきっかけを提供します。いもとさんの温かみのあるイラストレーションは、物語の世界観を豊かに表現しており、読者の心に深く響きます。親子で一緒に読みながら、生活の価値や安全について話し合う良い機会を与えてくれる作品です。
略歴
イソップ
イソップ(アイソーポス、Aísōpos)は、紀元前6世紀頃に小アジア(現在のトルコ)で生まれたとされる古代ギリシアの寓話作家です。元は奴隷でしたが、機知に富んだ話術によって解放され、各地の王や貴族に仕えました。彼の寓話は動物を主人公とし、人間社会の教訓や知恵を伝えるものが多く、現代でも広く読まれています。イソップ自身の詳細な記録は残っておらず、彼の存在自体が伝説とされていますが、『イソップ寓話』は多くの国で翻訳され、子どもから大人まで親しまれています。英語では「エソップ(Aesop)」と表記され、日本語では「イソップ」と呼ばれています。
いもとようこ
いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、幼児から小学校低学年(3歳から7歳)程度が適しています。シンプルな文章と温かみのあるイラストで構成されており、読み聞かせや初めての一人読みとして最適です。物語の内容も理解しやすく、子どもたちにとって親しみやすい作品となっています。
レビュー
いもとようこさんの『まちのねずみといなかのねずみ』は、イソップ寓話の持つ教訓を、優しい絵とともに伝える素晴らしい絵本です。田舎と町、それぞれの生活の良さや危険を描き、子どもたちに安全や満足について考えさせるきっかけを提供します。いもとさんの温かみのあるイラストレーションは、物語の世界観を豊かに表現しており、読者の心に深く響きます。親子で一緒に読みながら、生活の価値や安全について話し合う良い機会を与えてくれる作品です。