でんしゃが きた/竹下 文子

竹下文子さん作、鈴木まもるさん絵の『でんしゃが きた』(2013年 偕成社)は、いろんな電車が日本の風景を走り抜ける様子を描いた楽しいのりもの絵本です。田んぼのむこうを走る電車、鉄橋を渡る電車、海辺の町を駆け抜ける電車など、ページをめくるたびに違った景色が広がり、電車好きの子どもたちはワクワク。鈴木まもるさんの豊かな色彩で描かれた絵は、走る電車のスピード感や周囲の自然を生き生きと伝えてくれます。乗り物が好きな子はもちろん、風景を楽しみたい大人にもおすすめの一冊です。

略歴

竹下 文子

竹下文子(たけしたふみこ)さんは1957年福岡県生まれ、東京学芸大学卒業。大学在学中から童話の執筆を始め、1978年に「月売りの話」で日本童話会賞を受賞。以降、『星とトランペット』『黒ねこサンゴロウ』シリーズなどで路傍の石幼少年文学賞を受賞し、長年にわたって児童文学・絵本の世界で活躍されています。代表作には『せんろはつづく』『ひらけ!なんきんまめ』『なまえのないねこ』など、受賞歴も多数(絵本にっぽん賞、産経児童出版文化賞、講談社絵本賞など)。静岡県在住で、多くの子どもたちに親しまれている作家です。

鈴木 まもる(絵)

鈴木まもるさんは1952年東京生まれ。東京芸術大学工芸科を中退後、1980年に『ぼくの大きな木』で絵本作家としてデビュー。作品数は200冊以上にのぼります。1995年に「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さし絵賞を、2006年に『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞、2015年には『ニワシドリのひみつ』で産経児童出版文化賞JR賞など数々の受賞歴あり。伊豆半島に在住し、画家・絵本作家として活動する傍ら、鳥の巣研究家として収集・展覧会・講演なども行っています。

おすすめ対象年齢

『でんしゃが きた』は、2歳ごろから楽しめる絵本です。リズミカルでシンプルな言葉と、わかりやすく鮮やかな絵が小さな子どもにも伝わりやすく、はじめての電車絵本としてぴったり。電車を指さして名前を言ったり、ページをめくって風景の違いを見つけたりと、親子で会話を広げながら楽しめる作品です。

レビュー

この絵本を読んでいると、本当に電車に乗って小さな旅をしているような気分になります。鈴木まもるさんの絵は、電車だけでなく周りの自然や町並みまで丁寧に描かれていて、見ているだけで心が和みます。田んぼを走る電車ののどかさや、鉄橋を渡る迫力、海辺を走る爽やかさなど、ページごとに違う表情があるのが魅力的。電車が大好きな子どもはもちろん、親の方も「こんな景色の中を走る電車に乗りたいな」と思える一冊でした。読み聞かせるたびに新しい発見があり、親子で何度でも楽しめます。