かさとながぐつ/二宮 由紀子

『かさとながぐつ』(2019年、瑞雲舎)は、雨の日が待ち遠しくなるような、心あたたまる絵本。作:二宮由紀子さん、絵:市居みかさんのコンビによる一冊です。ある日、玄関にやってくる“ながぐつ”を心待ちにしている“かさ”。「どんな顔? 仲良くなれるかな?」と、ドキドキワクワクが伝わってきます。ふたり(!?)のちょっとした言葉遊びのやりとりが軽快で、読んでいて思わずニコッ。雨の日の玄関を舞台に、かさとながぐつの小さな友情が描かれる、やさしい世界に包まれる絵本です。

略歴

二宮 由紀子

二宮 由紀子(にのみや ゆきこ、本名・川島由紀子、1955年生まれ)は、日本の童話作家、翻訳家です。大阪府出身で、1974年に大阪府立高津高等学校を卒業し、1978年に京都大学文学部を卒業しました。独特のリズムとユーモアあふれる文章で、多くの童話や絵本を手掛けています。代表作には『だれかそいつをつかまえろ!』や「ハリネズミのプルプル」シリーズなどがあり、日本絵本賞翻訳絵本賞や赤い鳥文学賞、産経児童出版文化賞などを受賞しています。また、海外の絵本の翻訳も手掛けており、幅広い読者層から支持を得ています。

市居 みか(絵)

市居みか(いちいみか,1968年・兵庫県生まれ)さんは神戸大学教育学部美術科を卒業後、電器メーカーで企画・デザインに携わった後、絵本作家に転身。2001年に『ヘリオさんとふしぎななべ』(アリス館)で絵本作家デビュー。その後『イモムシかいぎ』『ろうそくいっぽん』『ねこのピカリとまどのほし』『いっぽんみちをあるいていたら』など多数の作品を発表し、2006年から始まる「こぶたのブルトン」シリーズでも人気を博しています。現在はイラスト・絵本制作のほか、ギャラリーでの個展やワークショップ講師、絵話塾での授業など幅広く活動中。温かみある画風と、登場キャラクターたちのユーモアあふれる表現が特徴です。

おすすめ対象年齢

対象年齢はおおよそ3歳〜6歳くらい。短くてリズミカルな文章と、身近なアイテムが主人公なので、小さなお子さんでも親しみやすく、読み聞かせにもぴったり。言葉あそびも楽しいので、年齢が上がっても繰り返し楽しめる内容です。

レビュー

かさがながぐつを待つシーンからすでにかわいらしくて、思わず笑顔に。言葉のやりとりがテンポよくて、読みながら心がぽかぽかしました。雨の日ってちょっと憂うつだけど、この絵本を読んだら「雨の日っていいな」って思えそう。市居みかさんのほっこりした絵もすごくマッチしていて、かさやながぐつにちゃんと“性格”があるように見えてくるから不思議。ラストには「また会いたいな」と思えるような優しさが残ります。小さい子へのプレゼントにもおすすめです。