うみちゃんのまど/中川ひろたか

『うみちゃんのまど』(1997年、偕成社)は、中川ひろたかさんが文を、長新太さんが絵を手がけたユニークな冒険絵本です。うみちゃんと「へんなひこうき」が、しりとりで行き先を決めながら旅するという、ちょっと変わった世界観が魅力。たとえば「きいろの国」「ろくでもない国」「いちばんぼしの国」など、名前だけでワクワクします。ページをめくるたび、どんな国が待っているのか想像力が広がる1冊。ナンセンスとユーモアがたっぷり詰まった、まさに“長新太ワールド”全開の絵本です。

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

長 新太(絵)

長 新太(ちょう しんた,1927年 – 2005年)さんは、日本の漫画家・絵本作家・エッセイスト。東京都大田区出身。戦後、映画館の看板屋を経て、1948年に東京日日新聞の漫画コンクールで入選し、漫画家としてデビュー。その後、絵本作家としても活動を広げ、『ごろごろにゃーん』、『ぼくのくれよん』、『タコのバス』などユーモアあふれる作品を発表し、子どもから大人まで広く愛されました。1959年に文藝春秋漫画賞を受賞し、1994年には紫綬褒章を受章。2005年には『ないた』で日本絵本賞大賞を受賞。享年77歳。

おすすめ対象年齢

対象年齢は3歳から小学校低学年くらいまでがおすすめ。ナンセンスなお話やしりとりの遊びが好きなお子さんにぴったり。文字数もほどよく、読み聞かせにも向いています。言葉遊びの楽しさや、自由な発想を楽しむ入り口として最適な絵本です。

レビュー

読んでいて「なんだこれ!?」と思わず笑ってしまう不思議な魅力があります。しりとりで行き先が決まるという設定がまず面白くて、先がまったく読めない展開にワクワク。長新太さんのシュールでカラフルな絵もクセになります。どのページも突拍子もないけど、子どもの発想ってこういう自由さがあるよな〜と大人も感じさせられる作品。意味より感覚を大事にする子ども向け絵本として、声に出して読んでも楽しめる1冊です。