『まるまるまるのほん』(原題:Un livre!)は、エルヴェ・テュレによる画期的なインタラクティブ絵本。2010年にフランスで初版が発表され、2010年にポプラ社から谷川俊太郎さんの訳で日本語版が刊行されました。この絵本は、ページをめくる指示や、本を傾ける仕掛けなど、まるでアプリのような体験が味わえるのが魅力。黄色い丸を押すと増えたり、触って変化したり、「本と遊ぶ」感覚が斬新です。小さな子から大人まで、遊び心と想像力を刺激しながら楽しめる、新感覚の絵本になっています。
略歴
エルヴェ・テュレ
エルヴェ・テュレ(Hervé Tullet、1958年生まれ)は、フランス・アヴランシュ出身のイラストレーター・絵本作家。芸術大学卒業後、広告やグラフィックデザインの分野で活躍。1994年に初めて児童書を出版し、その後80冊以上の作品を手掛けています。代表作『まるまるまるのほん(原題:Un livre!)』は2010年に発表され、フランス国内外でベストセラーに。ボローニャ絵本原画展などでも高評価を受けました 。さらに、世界各地でのワークショップ活動も盛んで、ニューヨークのMoMAや世界の美術館で展覧会やワークショップを開催。2015年以降はニューヨークとパリを拠点に創作活動を続けています 。
谷川俊太郎(訳)
谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう, 1931年-2024年)さんは、東京生まれの詩人、翻訳家、絵本作家です。1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューし、その独創的で感受性豊かな詩風が注目を集めました。以来、詩だけでなく、絵本や脚本、翻訳など多岐にわたる分野で多才な才能と日本文学への多大な貢献を物語っています。
絵本分野では、レオ・レオニの『スイミー』や『フレデリック』の翻訳で知られ、その簡潔で美しい日本語訳が作品に新たな命を吹き込みました。また、絵本『もこ もこもこ』や詩画集『ことばあそびうた』など、自身のオリジナル作品でも多くの読者に親しまれています。
受賞歴も多く、読売文学賞(1983年)、野間児童文芸賞(1988年)、朝日賞(1996年)など、国内外で高く評価されました。晩年には国際的な詩の賞も受賞し、日本文学の世界的な地位向上にも寄与しました。詩を通じて日常の深さを表現し続け、2024年に永眠されました。その作品と影響は、今も多くの人々に愛されています。
おすすめ対象年齢
この絵本は0歳〜6歳くらいのお子さんにぴったりです。単なる「読む絵本」ではなく、まるでアプリを操作するように「クリック」「くりっく」「傾け」など、身体全体で遊びながら楽しめます。小さな丸が増えたり色が変わったりする様子は、小さな子の好奇心をくすぐり、親子でコミュニケーションしながら読めます。
レビュー
この絵本、まさに紙の絵本としかけ遊びのハイブリッド!最初に黄色い丸がひとつ。「押してね」の文字に従って触ると、次のページで、丸が増えたり色が変わったりして思わず笑顔になります。ページごとに「くりっく」「こすって」「息を吹きかけて」などの指示があって、まるで絵本が生きてるような体験です。谷川俊太郎さんの訳もリズム感がよく、大人もつい真剣に操作してしまいます。赤ちゃんや幼児に最適なのはもちろんですが、大人が読んでも楽しく、ちょっとワクワク。シンプルだけど計算されたデザインとインタラクションの面白さが秀逸で、「絵本って可能性まだまだあるじゃん!」とワクワクさせてくれる一冊です。