『どんなきもち?』は、オランダの絵本作家ミース・ファン・ハウトによる作品(原題:vrolijk、2012年刊行)。ほんまちひろさん訳で、日本語版は西村書店から2015年に発売されました。黒い背景にカラフルなさかなたちが登場し、1ページに一語ずつ「わくわく」「びくびく」などの感情や行動を表現。言葉が少なくても、絵を見れば子どもも大人も「この気持ちわかる!」って自然に感じられる設計。それぞれのさかなたちに「次はどんな気持ちかな?」ってワクワクしながら感情理解の扉が開きます。遊びながら自分の心を言葉にしていく、そんな優しくて深〜い感動が詰まった一冊です。
略歴
ミース・ファン・ハウト
ミース・ファン・ハウト(Mies van Hout)さんは1962年オランダのアイントホーフェン生まれ。1985年にティルブルフで教師養成、1989年にフローニンゲン美術アカデミーでグラフィックデザインを修了。その後、1988年からフリーランスの絵本作家・イラストレーターとして活躍し、自作絵本や他作家の挿画を手がけています。代表作に『どんなきもち?』や友情を描く『ともだちになろう』があり、これは2012年のKinderboekwinkelprijs(児童書店賞)受賞、2013年にはデペンセルユリ―(ベルギーの感情絵本賞)でVlag & Wimpel推薦を受けました。作品は20カ国以上で翻訳され、温かみある色彩と感情表現が子ども心をしっかりつかんでいます。ドレンテの自然豊かな場所に家族と暮らし、ワークショップや学校訪問も積極的に行い、子どもの表現力を育てる活動にも力を入れています。
ほんま ちひろ(訳)
ほんまちひろさんは1978年神奈川県生まれ、東京学芸大学大学院修了。詩人・絵本作家で、2004年『詩画集 いいねこだった』で日本児童文学者協会新人賞を受賞しています。絵本の翻訳でも活躍中で、『ともだちになろう』や『どんなきもち?』などミース・ファン・ハウト作品を中心に、西村書店から数多く出版。翻訳以外でも、音楽や手話を取り入れたワークショップ「読み遊び」活動を行い、子どもの心に触れる創作にも力を入れています
おすすめ対象年齢
対象年齢は3~6歳くらいが目安。言葉が少ないので幼児でも理解しやすく、さかなたちのわかりやすい表情や行動から、感情の変化を自然に感じ取れます。読み聞かせはもちろん、自分でじっくり絵を楽しみながら「この顔はどういう気持ち?」と会話を広げるにもぴったりです 。
レビュー
この絵本、文字が少ないのに、ページをめくるたびに心が「うんうん」って反応するんです。魚たちの表情が本当に豊かで、感情そのものを描いたような色づかいと動きに思わず見入っちゃう。言葉にするのがむずかしい“気持ち”を、こんなに自然に伝えてくれるなんてすごい。子どもと一緒に「いまの気持ちはどれかな?」って比べたり、今日の気分を魚で選んだりして、遊びながら心の会話ができるのもいいところ。大人が読んでも癒やされるし、自分の内面と静かにつながる時間が持てる、やさしくて力強い絵本です。