まてまてタクシー/西村 敏雄

西村敏雄さん作の『まてまてタクシー』(2015年 福音館書店)は、忘れ物をしたハットさんが「わおっ、しまった!」と大きな声で気づく場面から物語が始まります。慌てて走ってタクシーを追いかける姿は、徒歩vs車のユーモラスな展開。途中で見失ってしまい「とぼとぼ、とぼとぼ」と繰り返されるしょんぼりの表現は、大人も子どもも思わず笑ってしまうポイントです。最後はほっとするハッピーエンド。オノマトペや繰り返しのリズム感が楽しく、読み聞かせにもぴったりの一冊です。

略歴

西村 敏雄

西村敏雄(にしむらとしお,1964年愛知県生まれ)は、東京造形大学デザイン科卒。家具やテキスタイルのデザイン仕事を経て絵本作家に転身し、第1回日本童画大賞最優秀賞を受賞。代表作に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』など多数あり、キャッチーで温かみのある絵が特徴です。『いろいろおふろはいり隊!』でも、野菜キャラたちに豊かな表情とユーモアを与え、読者をぞの世界へ引き込みます。インタビューでは「人の顔や日常のちょっとした表情にヒントを得る」と語っており、親しみのある作風の背景がうかがえます。

おすすめ対象年齢

『まてまてタクシー』は、3歳頃から楽しめる絵本です。繰り返しのリズムやオノマトペが豊富で、小さな子どもでも言葉のリズムに乗って楽しめます。ハットさんの大げさなリアクションや追いかける場面は、笑いながら読み進められるので、園児や小学校低学年にもおすすめです。読み聞かせはもちろん、文字が読めるようになった子どもが一人読みを始めるのにも適しています。

レビュー

読んでいてまず引き込まれるのが、ハットさんの「わおっ、しまった!」という声の大きさ。そこからの全力疾走がユーモラスで、車を必死に追いかける姿に思わずクスッと笑ってしまいます。特に「とぼとぼ、とぼとぼ」と繰り返される表現は、読む人の声のリズムでさらに楽しくなり、子どもたちも一緒に口ずさみそうです。結末は大好きなドーナツを食べるハッピーエンドで、安心感も満点。忘れ物という日常の小さな出来事が、こんなに面白くなるのかと驚かされました。読み聞かせにもぴったりで、親子で笑い合える温かい絵本だと思います。