そんなときなんていう?/セシル・ジョスリン

『そんなときなんていう?』は、セシル・ジョスリンが文を、モーリス・センダックが絵を手掛け、谷川俊太郎が翻訳した絵本です。原作は1958年にアメリカで出版され、原題は『What Do You Say, Dear?』です。本書は、子どもたちに礼儀やマナーを教えるための内容で、ユーモアあふれるシチュエーションを通じて、適切な言葉遣いを学べる構成となっています。例えば、「後ろ向きに歩いているとワニにぶつかる、なんて言う?」といった問いかけがあり、子どもたちが楽しみながら礼儀作法を身につけられる内容です。

略歴

セシル・ジョスリン

セシル・ジョスリン(Sesyle Joslin、1929年生まれ)は、アメリカの児童文学作家です。マイアミ大学、ゴダード大学、アンティオック大学を卒業後、「ホリデー」誌や「ウエストミンスター・プレス」で編集アシスタントを務めました。1950年に作家のアル・ハインと結婚し、コラムニストを経て作家活動に専念しました。1958年に発表した『What Do You Say, Dear?』(邦題『そんなときなんていう?』)は、モーリス・センダックの挿絵と共に高く評価され、コールデコット賞オナーを受賞しました。他にも『What Do You Do, Dear?』など、子ども向けの礼儀作法をテーマにした絵本を多く手がけました。

モーリス・センダック(絵)

モーリス・センダック(Maurice Sendak、1928年 – 2012年)はアメリカの絵本作家、イラストレーターです。ニューヨークのブルックリンでポーランド系ユダヤ人の家庭に生まれ、幼少期から絵を描くことに情熱を注いでいました。センダックは、子どもの内面や感情を描くことに優れ、特に子どもの「怒り」や「反抗心」といった感情をテーマにした作品で独自のスタイルを確立しました。『かいじゅうたちのいるところ』の成功により、彼は世界的に著名な絵本作家となり、その後も多くの作品で幅広い年齢層に影響を与えました。

谷川俊太郎(訳)

谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう, 1931年-2024年)さんは、東京生まれの詩人、翻訳家、絵本作家です。1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューし、その独創的で感受性豊かな詩風が注目を集めました。以来、詩だけでなく、絵本や脚本、翻訳など多岐にわたる分野で多才な才能と日本文学への多大な貢献を物語っています。
絵本分野では、レオ・レオニの『スイミー』や『フレデリック』の翻訳で知られ、その簡潔で美しい日本語訳が作品に新たな命を吹き込みました。また、絵本『もこ もこもこ』や詩画集『ことばあそびうた』など、自身のオリジナル作品でも多くの読者に親しまれています。
受賞歴も多く、読売文学賞(1983年)、野間児童文芸賞(1988年)、朝日賞(1996年)など、国内外で高く評価されました。晩年には国際的な詩の賞も受賞し、日本文学の世界的な地位向上にも寄与しました。詩を通じて日常の深さを表現し続け、2024年に永眠しました。その作品と影響は、今も多くの人々に愛されています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、3歳から6歳程度とされています。ユーモアあふれる内容とシンプルな文章で、小さな子どもたちにも理解しやすく、楽しみながら礼儀作法を学ぶことができます。

レビュー

本書は、ユーモアを交えたシチュエーションを通じて、子どもたちに礼儀やマナーを教える優れた絵本です。モーリス・センダックの魅力的なイラストと、谷川俊太郎さんのリズミカルな翻訳が相まって、読者を引き込みます。子どもたちは楽しみながら、日常生活での適切な言葉遣いや振る舞いを自然と身につけることができるでしょう。また、親子で一緒に読むことで、コミュニケーションのきっかけにもなり、家庭内での教育にも役立つ一冊です。

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