藤本ともひこさん文、村上康成さん絵の『おおきくなったらきみはなんになる?』(2018年 講談社)は、卒園・卒業シーズンにぴったりの心に残る一冊。「おおきくなったら、なにになりたい?」という問いかけからはじまり、夢の見つけ方や自分の道の選び方について、やさしくまっすぐ語りかけてくれます。誰かに無理って言われても関係ない、自分で決めて、自分でやっていこう──そんな前向きなメッセージがぎゅっと詰まっています。希望あふれるエール絵本です。
略歴
藤本 ともひこ
藤本ともひこさんは1961年東京都生まれ。1991年にで第13回講談社絵本新人賞を受賞し絵本作家デビューし、以後、幅広く創作活動を続けています。2000年からは東京都世田谷区の保育園にて「保育あそびアドバイザー」として通い、その経験から多くの絵本や遊びを制作。幼児教育・保育現場で親子や保育士に支持されています。Eテレ「おかあさんといっしょ」への楽曲・人形劇提供などでも活躍中。代表作には『いただきバス』『いもほりバス』、中川ひろたかさんとの共作『おおきくなったらきみはなんになる?』などがあります。
村上 康成(絵)
村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は4歳頃から小学校低学年くらいがおすすめ。卒園や進級の節目に、自分の「これから」に向けて背中をそっと押してくれる一冊です。ひらがなが多く、リズムもよいので、読み聞かせにも、自分で読む絵本としてもぴったり。夢や進路について話すきっかけにも◎。
レビュー
読んでいて、子どもの頃の気持ちをふと思い出しました。夢って、ひとつじゃなくてもいいし、ゆっくり見つけてもいいんだよね、って改めて感じさせてくれる優しい絵本です。藤本さんの言葉はストレートなのに温かくて、村上康成さんのイラストもすがすがしい空気をまとっていて、すっと心に染みました。卒園式の読み聞かせにもぴったりだし、大人が読んでも前向きな気持ちになれます。子どもたちの未来にそっと光を届けてくれるような一冊です。