
長谷川義史さん作・絵の『ぼくがラーメンたべてるとき』は、2007年に教育画劇から出版された絵本です。 この作品は、主人公の「ぼく」がラーメンを食べている同じ時間に、世界のさまざまな場所で子どもたちが何をしているのかを描いています。隣の子どもがテレビのチャンネルを変え、そのまた隣の子どもがボタンを押すといった日常の光景から始まり、次第に遠くの国で水を汲む子どもやパンを売る子ども、そして倒れている子どもなど、異なる環境で生きる子どもたちの姿が描かれています。この絵本は、同じ時間でも場所によって子どもたちの生活が大きく異なることを示し、平和の大切さや世界の現実を考えさせられる内容となっています。
略歴
長谷川義史
長谷川義史(はせがわよしふみ)さんは、1961年大阪府藤井寺市生まれ。 グラフィックデザイナーからイラストレーターを経て、2000年に『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』で絵本作家としてデビューしました。 2003年には『おたまさんのおかいさん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。また、2008年には『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本賞と小学館児童出版文化賞を受賞するなど、多くの作品で高い評価を得ています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は3歳からとされていますが、小学校低学年から高学年まで幅広い年齢層に適しています。 短い文章と豊かなイラストで構成されているため、小さな子どもでも楽しめますが、内容の深さから年齢に応じて異なる視点で理解することができます。特に、小学校低学年の子どもたちには、世界の多様な現実を知るきっかけとして有用です。
レビュー
この絵本を読んで、日常の何気ない瞬間にも、世界のどこかで異なる生活を送る子どもたちがいることを改めて考えさせられました。ラーメンを食べる「ぼく」の身近な場面から始まり、ページをめくるごとに広がる世界の子どもたちの姿は、私たちの知らない現実を静かに伝えてきます。特に、最後に描かれる倒れている男の子の場面は衝撃的で、平和の尊さと同時に、世界の不平等さを痛感しました。長谷川さんの温かみのあるイラストと簡潔な文章が、読者の心に深く響きます。この絵本は、子どもだけでなく大人にも読んでほしい一冊であり、家族や教育の場で平和や世界の現状について話し合うきっかけとなるでしょう。