かぜはどこへいくの/シャーロット・ゾロトウ

『かぜはどこへいくの』は、シャーロット・ゾロトウ(Charlotte Zolotow)による絵本で、原題は『When the Wind Stops』です。​アメリカで出版され、日本語版は松岡享子さんの翻訳により、1981年に偕成社から刊行されました。​この絵本は、就寝前のひとときに、幼い子どもの質問に答える母親を通じて、自然の営みを優しく描いています。​繊細な鉛筆画と温かい対話が特徴の作品です。

略歴

シャーロット・ゾロトウ

シャーロット・ゾロトウ(Charlotte Zolotow、1915年 – 2013年)は、アメリカ・バージニア州ノーフォーク生まれの児童文学作家、詩人、編集者です。​50年以上にわたり、出版社で児童書の編集者として多くの絵本作家を世に送り出す一方、自身でも数多くの物語を執筆しました。​代表作には『こうえんのいちにち』(1944年)、『あらしのひ』(1952年)、『ぼくは赤ちゃんがほしいの』(1972年)などがあります。​彼女の作品は、子どもの視点や感情を丁寧に描き、多くの読者に親しまれています。

ハワード・ノッツ(絵)

ハワード・ノッツ(Howard Knotts)は、アメリカのイラストレーターで動物や自然を題材にした繊細な鉛筆画で知られています。​シャーロット・ゾロトウの作品を含む多くの児童書の挿絵を手掛けました。彼の作品には、『ふゆねこさん』や『夏のねこ』などがあり、特に猫をテーマにした作品が多く、猫と人間の共生を温かく描いています。 ​彼の作品は、自然や動物への深い愛情と理解が感じられ、読者に安らぎを与えます。

まつおかきょうこ(訳)

松岡享子(1935-2022)さんは、日本の児童文学研究者、翻訳家、図書館司書です。神戸女学院大学を卒業後、ウェスタン・ミシガン大学で修士号を取得されました。帰国後は、福音館書店に勤務し、東京都立日比谷図書館で児童サービスにも携わられました。1974年には「東京子ども図書館」を設立し、児童書の普及に尽力されました。また、『しろいうさぎとくろいうさぎ』や「くまのパディントン」などの翻訳も手掛けられました。著作・翻訳は200冊以上にのぼり、文化功労者としても顕彰され、児童文学の発展に大きく貢献されました。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢はおおよそ5歳からとされています。 ​しかし、内容の深さや絵の美しさから、小学生や大人にも十分に楽しめる作品です。​子どもの素朴な疑問と、それに答える母親とのやり取りは、読者に安心感と温かさをもたらします。

レビュー

この絵本は、子どもの純粋な疑問に対し、母親が自然の循環や生命の連続性を優しく伝える内容が印象的です。​終わりは新たな始まりであることを教えるこの物語は、読む人に深い安心感と希望を与えます。​また、ノッツの繊細な鉛筆画は、物語の雰囲気を一層引き立て、読者を静かな世界へと誘います。​親子での読み聞かせにも最適な一冊であり、世代を超えて愛される作品です。

イラストレーターが違うバージョンもあるんです!

タイトルとURLをコピーしました