『おしっこ、うんこはどこにいく?』(作:中川ひろたか、絵:カワチ・レン、2021年発行、アリス館)は、日常のトイレの水がどこへ行くのかを、子どもと親が小さくなって探検する“せいかつかがく絵本”です。トイレ、水道、洗濯やお風呂の水が下水道に流れ込み、近所の水も集まって再生センターへと導かれるまでを、カラフルでポップなイラストとともに描いています。子どもの「なんで?」をワクワク感ある冒険に変え、生活と環境のつながりを伝えてくれるユニークな一冊です。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
カワチ・レン(絵)
カワチ・レンさんは京都府出身、武蔵野美術大学を卒業後、デザイン事務所で9年間勤務。その後フリーのイラストレーターとして独立し、書籍やブックカバー、広告などで活躍しています。代表作には『おつきさまのおさんぽ 新版』(Gakken)、『ゆっくりはいて たっぷりすって』(世界文化社)、そして『おしっこ、うんこはどこにいく?』(アリス館)などがあります。生活科学をテーマにした絵本をカラフルで親しみやすく仕上げるスタイルが特徴で、柔らかくも情報量のある絵の表現が多くの読者に支持されています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、おおよそ5歳くらいから。特に幼稚園から年長~小学校入学前の子どもにぴったりです。トイレや水の話は子どもたちにとって身近なテーマで、親子の対話が自然に広がります。読み聞かせにも良く、好奇心旺盛な年齢に合わせて大人が補足しながら読むと、学びの楽しさも倍増します。
レビュー
トイレの水がどこにいくのか――という日常のなにげない疑問を、親子で体験型の探検に変える発想が最高です。カワチ・レンさんのイラストは色鮮やかでテンポもよく、小さな探検隊になった気分で楽しく読み進められます。科学のしくみを難しく説明するのではなく、「ぼく」と「お父さん」という身近な存在で楽しく導く構成が秀逸です。環境やリサイクルに興味を持ち始める前段階としても理想的。何度も繰り返し読みたくなる絵本で、子どもだけでなく大人も思わず「へぇ〜」と納得してしまうリアリティがあります。日常の疑問が冒険に変わる瞬間を、親子でぜひ共有したい一冊です。