しろいちょうちょがとんでるよ/村上 康成

村上康成さんの『しろいちょうちょがとんでるよ』(2016年 ひさかたチャイルド)は、春のやさしい空気を感じられる、リズム感あふれる絵本。青空の下、しろいちょうちょが「ひらりひらり」と舞い、緑の野原を飛びながら、つぼみにふれると「ぱっ!」と花が咲きます。ちょうちょが飛びまわるたびに景色が色づいていく様子は、まるで自然が目を覚ましていくみたい。やがてちょうちょは、ねんねしている黒猫の頭にちょこんととまって…? やさしい色使いとリズムのある言葉が、春の訪れを感じさせる一冊です。

略歴

村上 康成

村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。

おすすめ対象年齢

対象年齢はおよそ0歳から3歳ごろまで。短いフレーズとくり返しのリズムが小さな子どもにもわかりやすく、読み聞かせにもぴったり。春の自然や生きものに興味が出てきた時期に、季節を楽しむきっかけにもなる一冊です。赤ちゃん絵本デビューにも◎。

レビュー

「ぱっ ぱっ ぱっ」と花が咲く音が心地よく、読んでいて自然と声にリズムがのってきます。しろいちょうちょが通るたびに世界がどんどん華やかになっていく感じが、まさに春の魔法のよう。ページをめくるたびに、色の変化やちょうちょの動きに子どもたちも目をキラキラさせてくれそうです。最後の黒猫とのやりとりもとってもキュートで、思わずにっこり。心がふんわりあたたかくなる、春にぴったりの絵本です。