しろねこくろねこ/きくち ちき

しろねこくろねこ』は、きくち ちき さんの代表的な絵本で、2012年にGakkenから発行された作品です。白いねこと黒いねこはいつも一緒に過ごしていますが、まわりの人たちが白いねこの美しさばかりを褒めるのを見て、黒ねこは自分の色に自信がなくなってしまいます。その気持ちの揺れと、しろねこの変わらぬまなざしが大きなページいっぱいの色彩と躍動感ある筆致で描かれています。静かな風景の中で動物たちの感情が繊細に伝わり、比較されることに悩む気持ちや、自分らしさを見つける旅路がやさしく心に残る絵本です。

略歴

きくち ちき

きくちちき さんは、1975年北海道生まれの絵本作家で、デザインの仕事を経たあと絵本制作の道へ進みました。2008年頃から手製の絵本を発表し、その独自の色彩感や筆使いが編集者の目に留まり、2012年に『しろねこくろねこ』でデビューしました。デビュー作はブラティスラヴァ世界絵本原画展で金のりんご賞を受賞し、国内外で高く評価されています。続く作品も多数あり、2019年の『もみじのてがみ』では同展の金牌を、2020年には『しろとくろ』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞するなど、受賞歴も豊富です。他の代表作には『でんしゃ くるかな?』『ぼくだよぼくだよ』など、多様な絵本があり、親子で楽しめる絵本を精力的に制作しています。ユニークで躍動感のあるタッチが特徴で、子どもだけでなく大人からも支持されています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は4歳〜7歳くらいが目安です。色や感情の変化が大きく描かれているので、幼児から大人まで幅広く楽しめます。白と黒という視覚的にわかりやすいテーマを通して、「見た目の違い」や「自分らしさ」について考えるきっかけにもなります。文章は少なめで絵が中心なので、読み聞かせでも集中しやすいです。

レビュー

この絵本は、とても静かでやさしい心の動きを描いていると感じました。白ねこばかりがほめられるのを見て、自分の色に自信をなくしていくくろねこの気持ちは、子どもにも大人にも共感しやすいテーマです。ページをめくるごとに筆の勢いと色が感情と一緒に変わっていくようで、絵を眺めているだけでも気持ちがぐっと伝わってきます。しろねこがただそばにいてくれるだけで、くろねこが自分を受け入れていく流れはとてもやさしくて、本を閉じたあとにも余韻が残りました。比較されることに悩む気持ちや、自分らしさを見つける過程を、言葉ではなく色と線で感じられる一冊です。読み聞かせの時間が自然と穏やかになっていくように思います。