いもとようこさんが絵と文を手掛けた絵本『3びきのこぶた』は、イギリスの民話を基にした作品です。この絵本は、3匹の子ぶたがそれぞれ藁、木、レンガで家を建て、悪い狼から身を守る物語を描いています。狼が藁と木の家を吹き飛ばす場面や、レンガの家に侵入しようとする場面など、緊張感と教訓が込められています。いもとさんの温かみのあるイラストが、物語に優しさと親しみやすさを加えています。この絵本は、2007年に金の星社から出版されました。
イギリス民話
イギリスの民話は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの伝統的な物語や伝説で、地域文化や自然環境を反映しています。善悪や知恵をテーマにした教訓的な内容が多く、妖精や魔法使いなどの超自然的要素が特徴です。代表的な物語には「3匹の子ぶた」「ジャックと豆の木」「ロビン・フッド」などがあり、これらは児童文学や映画にも影響を与えています。イギリス民話は、伝統を伝えると同時に、現代でも世界中で愛されています。
略歴
いもとようこ
いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3~6歳程度が中心と考えられます。物語の親しみやすい展開や、いもとようこさんの温かみのある貼り絵が、小さな子どもたちにも理解しやすい内容となっています。また、物語のテーマである家族の協力の大切さは、成長過程で学んでほしい価値観として幼児期にぴったりです。読み聞かせにも最適で、親子で楽しい時間を共有しながら物語の魅力を味わうことができます。
レビュー
いもとようこさんの『3びきのこぶた』は、イギリスの民話をやさしいタッチで描いた素晴らしい絵本です。原作の教訓的なテーマを引き継ぎつつも、いもとさんの温かみのあるイラストが加わることで、小さな子どもたちにも親しみやすい作品に仕上がっています。特に、3匹の子ぶたの個性や奮闘、レンガの家が狼に打ち勝つ場面では、努力や知恵の大切さが自然と伝わってきます。また、いもとさん独特の柔らかい色彩や表情豊かなキャラクターたちが物語に命を吹き込んでおり、大人も一緒に楽しめます。この絵本は、家族で読み聞かせをする際にぴったりの一冊です。繰り返し楽しめる普遍的なストーリーでありながら、新しい感動をもたらしてくれる点も魅力的です。