『わすれないでね ずっと だいすき』は、5歳の男の子と、少しずつ記憶を失っていくおばあちゃんとの愛情を描いた絵本です。おばあちゃんは、5分前のことや孫の名前さえ忘れてしまうことがあります。それでも男の子は気にせず、やさしく寄り添いながら一緒に遊びます。やがて、おばあちゃんが自分の孫を忘れてしまったことに気づき、胸を痛める場面もありますが、物語は「人間にとって最後まで残る大切なものは何か」という問いへとつながっていきます。認知症の家族への寄り添い方を考えるきっかけにもなる、あたたかく心に残る一冊です。日本語版は2022年発売、原書『I Remember』も2022年刊行です。
略歴
ジーン・ウィリス
ジーン・ウィリス(Jeanne Willis)さんは、イギリス生まれの児童文学作家・脚本家です。21歳のときに初めて絵本を出版し、その後、数多くの児童書を手がけています。日本語版では、『スーザンはね……』『モグラくんがみた おひさま』『シイイイッ!』などが刊行されています。代表作の『スーザンはね……』ではナッセン特別支援賞などを受賞しています。絵本だけでなくテレビ番組の脚本も手がけるなど、幅広く活躍している作家さんです。
ラケル・カタリナ(絵)
ラケル・カタリナ(Raquel Catalina)さんは、スペイン・マドリード生まれのイラストレーターです。美術を学んだ後、バレンシアでイラストレーションを専門的に学び、児童書を中心に活動しています。幼い頃から絵を描くことが大好きで、身近なものをキャンバスにして絵を楽しんでいたそうです。日本語版として刊行されている作品では、ジーン・ウィリスさんの『わすれないでね ずっと だいすき』の絵を担当しています。
前田 まゆみ(訳)
前田まゆみさんは神戸市生まれの絵本作家・翻訳家です。神戸女学院大学で英文学を学びながら、洋画家の杉浦佑二さんに師事して絵を学びました。植物や動物をテーマにした自然科学系の絵本を中心に、絵本制作や翻訳、デザインなど幅広く手がけています。
翻訳絵本では『翻訳できない世界のことば』がベストセラーとなったほか、『あおいアヒル』で2020年に産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞しました。『だいすきだよ おつきさまにとどくほど』『わすれないでね ずっと だいすき』などの翻訳も担当し、自然や言葉に寄り添った作品を数多く届けています。現在は京都を拠点に活動されています。
おすすめ対象年齢
基本的には3~5歳くらいから楽しめますが、認知症というテーマを扱っているため、小学校低学年の子ども達でも大丈夫です。読み聞かせる大人が子どもの反応に合わせて言葉を補ってあげるとよさそうです。おじいちゃん・おばあちゃんと暮らしている子や、祖父母との関係を考えるきっかけになる絵本としてもおすすめです。大人やご家族みんなの心にじんと響く一冊です。
レビュー
この絵本の一番の魅力は、おばあちゃんがいろんなことを忘れてしまっても、男の子の大好きな気持ちがずっと変わらないところです!
「忘れちゃう」って聞くと悲しくなっちゃいますが、この本は「忘れても消えない大切な気持ちがあるんだよ」って優しく教えてくれます。おばあちゃんを特別扱いせず、いつも通り一緒に楽しむ男の子の姿には思わずほっこり。
子どもはもちろん、大人が読んでも「人を大切にするってこういうことだな」って胸がキュンとします。お孫さんがいる世代の方にも、ぜひ手にとってほしい一冊です!

