くまとクマ/松成 真理子

松成真理子さんによる絵本『くまとクマ』は、童心社から2005年に初版発行されました。ひとりぼっちのぬいぐるみ「くま」が、ある朝、犬の「クマ」と出会い、ふたりは仲良く暮らし始めます。ふたりのふしぎでちょっぴり切ない日々を、あたたかいタッチで描いた絵本です。シンプルだけど心に響く一冊です。

略歴

松成 真理子

松成真理子さんは1959年生まれで、大阪府出身のイラストレーター・絵本作家。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)を卒業して、広告や雑誌のイラストの世界から絵本の世界へステップアップ。デビュー作『まいごのどんぐり』(童心社)で第32回児童文芸新人賞を受賞したのがきっかけ。主な作品には『じいじのさくら山』『ふでばこのなかのキルル』(白泉社)、『たなばたまつり』『はるねこ』(講談社)、『せいちゃん』(ひさかたチャイルド)、『ころんちゃん』(アリス館)などたくさんあって、ほんわかあったかい絵柄と物語が魅力です。

おすすめ対象年齢

『くまとクマ』の対象年齢は、3歳から5歳くらいの小さなお子さん向けです。イラストも文章もちょうどその年齢の感受性に寄り添ったやさしい構成になっていると思います。

レビュー

ほんわかした雰囲気に、心がじんわりあたたかくなる絵本でした。「くま」と「クマ」、名前も響きも似ていてちょっとかわいい偶然。孤独だったぬいぐるみ「くま」が、新しい友だちと一緒に過ごすことで、世界がぱっと明るくなる感じがとっても素敵です。ページをめくるたびに、ふたりの姿につい頬がゆるみます。言葉は少なめだけど、お話の余白に想像力を遊ばせられるのも魅力。「こんな出会い、あったらいいな」と思わせてくれるやさしい一冊だなあと感じました。